自分が子供の頃の格好良い男の定義は、普段は好い加減な人間なのに、ここぞと云う瞬間には決めて見せるギャップを持ち合わせているか否かだった。
いつもシリアスに格好つけてる男も格好良いが、少しポンコツぐらいの方が親近感が湧く。そういうことだったのか、ドラゴンボールの悟空や、孔雀王の孔雀、そして当然の如くシティハンターの冴羽獠も大好きだった。
東京は新宿で護衛や探偵業を請け負う男”冴羽獠”が、相棒の”槇村香”と様々な事件や揉め事を解決して行くジャンプの人気漫画だったシティハンター。これまで何度も実写化されて来たのに、何故か日本国内では今回が初めてだったと聞いて意外に感じたが、要は前回のフランス版が好評だったことと、ネトフリが絡んでくれたから制作し易かったと云う話なのだろうか?
ストーリー展開としては、原作の本筋を活かしつつも現在と過去がクロスオーバーしたような別世界のシティハンターといった趣で、馴染み深いエンジェルダストやユニオン・テオーペなどのキーワードが無ければ、こんな話だったかな?と思ってしまうほどファンタジーですらあった。主演の鈴木亮平の頑張りはなかなかのもので、冴羽獠のあの悪ノリを堂々と再現して見せたり、未熟なりにも格好のよい銃の見せ方を意識したり、ここぞと云う時の表情なんかも流石だなと思わせたが、全体的にはフランス版と比べ物足りない部分が多々ある及第点といった感触。
ただ、そんな中でも個人的に高得点だったのは、ちゃんと”槇村秀幸”とのくだりをやってくれた事である。勿論原作やアニメのような扱いではないので瞬殺に近いわけだが、それでも彼が居るだけで思い出補正が働いてしまうまである人間には大きな違いなのだ。特にアニメ版の、雨の中獠に香を託す槇村の姿は忘れられないし、「地獄は寂しいかもしれんが、直ぐに賑やかにしてやるよ」と、復讐を誓う冴羽獠は本当に格好良かった......
無論そこを超えられるようなレベルでは無いが、組み込んでくれた事それ自体が兎に角嬉しかったのだ。
映画作品としてもシティハンターとしても、色々言われてしまうのも無理はないが、原作を忘れつつある中見ていると、割と楽しめてしまったから不思議だ。正直一番微妙なのは新録されたTMNの「Get Wild Continual」の仕上がりな気がしてならない。元のGet Wildが良すぎて、今の熱量で歌われるGet Wildなんて聴けた物じゃ無かった。難しいよね。過去の自分に勝つと云うのは.......
なんやかんや言っても、来年には原作が40周年でもあるし、去年は神谷さんが獠を演じる劇場アニメも公開され、まだまだ今後が期待出来そうで古のオタクは少し嬉しく思う。
とりあえず気難しいこと言わずに、生暖かくネトフリ版を見守ってあげて欲しい。素晴らしい原作やアニメ版がある中、ちゃんと形にしただけでも褒めてやってください。
少し前なら、こんなこと書かなかったので、丸くなったんでしょうね。身も心も自分は.......
それはそうと果たして実写化の続きはあるのだろうか?
それとも、もう”後がない”のだろうか?......
シティハンターと冴羽獠が存在しなければ、パイソンもミニも好きにならなかったんだろうなぁ.....