無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん、はてなブログに引越し中です。

小説

ジャケ買いの悦びとリスクを教えてくれた先生でもありました.....

長いようで短かった小学生も終わりに近づいた頃、それまで見向きもしなかった小説を読むようになった。 「絵が殆ど無い本なんて読みたく無い」 そんなことを言っていたのが嘘みたいだった。 きっかけは深沢美潮さんの「フォーチュン・クエスト」だったのでは…

生きること、死ぬこと、選ぶこと「歌の終わりは海 Song End Sea」森博嗣/講談社/感想

※ネタバレ有り 自分と云う存在になって、かれこれ43年以上が経つ中で「生きていても仕方ない」、そう考えたことが何度かあったような気はするが、なんだかんだこうして生身の維持に勤しんでいる。 そう考えた時も、多分本気で死にたかったわけではないだろ…

さっさと読み直して最終巻を読みたい...「創竜伝」田中芳樹/講談社/感想

元々活字の読書量が多いわけではなかった自分だが、更に近年すっかりソシャゲの虜となり、貴重な読書時間に充てていたお昼休みを活用できない人間に成り下がった。 誰か俺からウマ娘を取り上げてくれ! 中毒者は自分で止めることが出来ない。なるほどこれが…

自分が選ぶ。それが一番難しい世界「馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow」森博嗣/講談社/感想

日曜日を迎える度、自分はクズだなと思う。 連休が少ないのを言い訳にし、家事全部を放っぽり出して汚い部屋に篭り、食事と居眠りの合間にゲームと動画でだらだら過ごし、0時を越えて月曜になっても寝るのを惜しんでパソコンに向かっているのだから、そりゃ…

銀河の端で頁を捲る俺のクリスマス「銀河英雄伝説列伝1」田中芳樹/石持浅海/太田忠司/小川一水/小前亮/高島雄哉/藤井太洋/東京創元社/感想

就職して以来、親からクリスマスにまつわる何かを貰うことは無くなった。そのうち姪っ子らに自分がクリスマスの何かを買うようになり、姉はそれのお返しのように生活用品をプレゼントしてくれている。なんだかんだ言っても誰かとの関わりの中で生きている自…

うつのみこ日誌 (完) 「宇宙皇子」藤川桂介/角川書店/感想

長期に渡る作品と云うのは、どんなものでも作り手のモチベーションに変化が出るものだが、それは受け取る我々も同じで、『宇宙皇子』全48巻を足掛け25年ほど費やし読み終え到来したのは、時の流れとは本当に残酷だと云うことだった。 表紙担当の”いのま…

許せぬ真実、許せる嘘「神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned? 」森博嗣(著)/講談社/感想

人間は暇さえあれば嘘を吐く。家族に上司に友達に。 心の構造上まるで嘘を吐けない人も稀にいるが、基本的には自覚無自覚を問わず誰でも都合に応じて嘘を利用している。幼い頃は”それ”自体に罪があるかのように、嘘塗れで矛盾した大人を蔑み「自分はそうはな…

感想でもない感想ですまん「それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?」 森博嗣(著)/感想

ほんの数年前までは、昼休みオンリーの読書とはいえ2週間に一冊ペースで小説を読んでいたというのに、すっかりひと月に一冊ほどになってしまったこと、そして18年ぶりの新刊が出た十二国記を優先したことにより、大好きな森博嗣さんのWWシリーズを今更1冊…

年の瀬に思い耽るは未熟ゆえに出逢った「フォーチュン・クエスト」の日々

その昔僕は、文字ばかりの本が好きでは無かった。堅苦しく並ぶ文字を眺めていると窮屈で、しかも漢字が不得意だったから(今も書くのは苦手)物語に没入出来ず、スタートラインにも立っていない状況だった。 それが変わって来たのは小学校も高学年になってか…

これは紛れもなく十二国記だった「十二国記 白銀の墟 玄の月」小野不由美(著)/新潮社/感想

私が十二国記に出会ったのは高校生の頃。所謂学校でやらされる”勉強”がまるで好きでは無かった私は、当然高校も都合の良いところは選べず、バスと汽車を乗り継いで遠くの学校へ通う羽目になったが、そのお陰で街中に出来たばかりの大型書店に寄り道し放題で…

実は新手のハーレム物だったのでは!?「人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly?」森博嗣/講談社/感想

10連休とはいかなかったが、6日間連続で休めば十分身体は鈍るもので、休み明け初日は全く言うことを聞かなかった。そもそも言うことを聞かせる気に心はなっていなかったわけだが..... 心と身体は切っても切れない、なんて偉そうに並べ立てるのも気がひけ…

本当に”ありがとう”と”お疲れ様”しかない浮かばない....「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3(完)」小川一水/早川書房/感想

二度に分けての島出張がとうとう終わりを迎えた。合わせて1ヶ月近く行っていたことになる。10数年ぶりの長期外泊だった。 山と海を一望出来る風景は綺麗だし、宿のご飯は海沿いならではの充実っぷりだし、観光気分なところもあったものの、やはり慣れない…

ヒトに押し付けられた本の方が、ページをめくる手が軽い時もある「銀河郵便は“愛”を運ぶ」大原まり子(著)/徳間書店/感想

普段読む本は、基本的には自分で選んだもの(書店員さんのディスプレイ方法や、ネットショップのオススメに乗せられている場合も自分で選んでいると仮定して)を読む人間なのだけど、これでも”お節介”で本を提供してくれる知人が居たりするから、僕のような…

オススメなんて読んでやらねーぞ!という人にオススメです「零號琴」飛浩隆(著)/早川書房/感想

先週だったろうか?上の姪っ子に「十二国記」を貸してみた。 これまでアニメや漫画は散々観せて来た(半ば強引に)が、活字ばかりの本は初めてである。 受け取ってくれるかどうかも不安ではあったが、すんなり受け取り普通に楽しめているようで安心した。 大…

恋は好きになった方の負けというが、SFもまさしくそれ「ポリフォニック・イリュージョン」飛浩隆/河出書房新社/感想

基本的にベタ惚れ過ぎて、冷静な感想など述べられそうに無い(そもそも勉強不足で語るだけの言葉を持ち合わせていない)けれど、あえて恥を忍んで”この人は凄い”と言わずにはいられなかった。 ポリフォニック・イリュージョン まずこの表紙がヤバいだろう。…

お別れまであと1冊......「ψの悲劇 The Tragedy of ψ」講談社/森博嗣

無料ゲームをやるようになって、どんどん読書量が落ちている私は、Gシリーズの新刊ですらようやく読み終えた。 ψの悲劇 The Tragedy of ψ (講談社ノベルス) Gシリーズは森博嗣さんのデビュー作である「すべてがFになる」から連なるサーガの一つで、所謂S&Mシ…

今の自分の気持ちに”感慨無量”とサブタイ付けたい「アルスラーン戦記」田中芳樹/光文社/感想

お話の性格上”いつまでも終わらない”のではなく、普通に続きが作られないから”終われない”作品は数多く存在し、作者の寿命の方が先に終わりを迎えるなんてこともザラだったりするから、たとえ30年の歳月がかかっていようとも、ちゃんと完結させてくれた田…

とうとう未踏破のアルスラーン戦記へ....

最近ちっとも本を読んでいない気がしてならない。 それもそのはず、ずっとアルスラーン戦記を読み直しているからだ。 中世のペルシャをベースとした架空の国”パルス”王国を中心に繰り広げられるヒロイックファンタジー小説として発表されてから、30年以上…

今こそ読み直せ俺っ「アルスラーン戦記 王都炎上・王子二人」田中芳樹(著)/光文社/感想

昨年末まさかの完結編を刊行したアルスラーン戦記。 せっかくだから是非とも最終巻を読みたいところではあるものの、何年も前から続きは完結してから読もうと買うだけ買って積んでいたため、正直何処まで読んだか定かではなく、これじゃあ最初から読み直した…

人とAIが仲良く暮らす未来など俺には見えない 「ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity?」森博嗣/講談社/感想

ひと月ほど前にひいた風邪が、まだ完全に治らない。それどころかぶり返して来たような節もある。 いくら不摂生な生活をしているとはいえ、こんなにも免疫力が下がっている自分にがっかりする。 早く本作のような人がなかなか死ねない時代が来て欲しい.......…

この作品から救われて今ホっとしている...「ホサナ」町田康(著)/講談社/感想

読み終わって真っ先に思ったのは 「俺は一体何を読んだのだろう?」 だった.... ホサナ - とある女性に誘われ、主人公は犬好きと、その愛犬が集まるバーベキューに参加するのだが、それが運の尽きだったのか数奇な出来事に巻き込まれていく......という話。…

消せない消えない消したくない「野火」大岡昇平/感想

農業が盛んな地域に住んでいれば、普通に見かける野火。畑や田んぼの周囲の草刈り後にそれを焼く行為なのだけど、本作の主人公である田村には、それが何かの象徴であるとか、自分の気持ちの表れに思えてならないようだった。 野火 (新潮文庫) - 野火 - 大平…

人を騙すにも礼儀ってのがあるらしい「ダマシ×ダマシ」森博嗣/講談社/感想

『結婚』 てなんだろうか?何度そう思ったかしれない。 心や身体の寂しさを埋めるため?それとも体面? なんにせよ、僕は身内にろくな結婚した人が居ないから、相変わらず良いイメージは皆無だ。 その昔の結婚は、もっと義務的な意味合いが強く、今のように…

夫婦という甘く切ない風景「青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light?」森博嗣/講談社/感想

やめるやめる詐欺ってわけでも無いけれど、嬉しいことに森博嗣さんはまだ本を書いてくれている。しかも物書きとしてのモチベーションを持ち直したかのように質も良い。新しいブログも始めたようだし、このまま生涯現役であってくれたら最高なのだけど、それ…

♪BLAME!とSFは続くよ何処までも〜「BLAME! THE ANTHOLOGY」早川書房/感想

映画館での公開と同時にNetflixにて配信を開始するなど、何かと驚かせてくれたBLAME!ですが、上映館数が少ない割にTwitterでのつぶやき数ランキングは「美女と野獣」についで2位を獲得し、上映している映画館でも連続して1位になっているというから驚いた。 …

文字に駆逐されるのは快感だ「象られた力」飛浩隆(著)/早川書房/感想

昔から「SFは難しい」と言われている。 ここでいう所の難しいとは、専門用語や造語を多用する理詰めに関してなのだろうけど、それ以上に世界観そのものが難しいというのもあるのだろう。僕も正直本格的なSFになると内容を半分も理解できているか怪しく、難し…

文字で紡がれる遺伝子「伊藤計劃トリビュート2」 ハヤカワ文庫JA/感想

故”伊藤計劃”氏が作家デビューしたのは10年前。作家として活動したのはたった2年。 にも関わらず、代表作が劇場アニメとなり、大勢の作家にトリビュートされているのは何故なのだろう? 正直僕には小難しいことは分からない。でも分からないなりに彼の作…

辛い時こそ生きている僕「私たちは生きているのか?」森博嗣/講談社/感想

季節の変わり目だからか、寝込むような風邪をひいた。 病院に行く金をケチっているからインフルエンザかどうかは分からない。37℃ちょっとまでしか熱は上がらなかったから、おそらくただの風邪だろう。 今回の風邪は、鼻と喉とお腹に来た。昨日1日寝込んで…

うつのみこ日誌 拾

いつの間にか、読んでいるこちらまで物語の中の連中と一緒に修行させられていることに気付き、少々鬱陶しいなぁと思うようになってしまった宇宙皇子。しかしあと19冊で本編が終わると思えば、少々の苦痛もなんてことはないのかもしれない。 今度の舞台は地獄…

寒い夜には一皿のスープと猫が居れば大丈夫「ポテト・スープが大好きな猫」テリー・ファリッシュ(作)/バリー・ルート(絵)/村上春樹(訳)/講談社/感想

なんだ今日は朝から湿った雪かぁ....って雨になって来た! 勘弁してよぉ...... と、思いつつ久しぶりに防寒着ではなく雨合羽を装備して昨日は働いていたわけですが、お昼にこの本を読んだら心だけはほんわか暖まった気がしました。 猫を飼ったことが無いため…