無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

盛り沢山過ぎて困った春アニメ。

年に何度かある長期休みの一つであるGWが終わった。
 
いつも通り家のこと半分、自分のこと半分な感じで過ごしたわけだが、今年は四日間しか無かったため、どうにも不完全燃焼と云うか、やらなきゃならないことと、やりたいことを詰め込み過ぎて疲れてしまったと云うのが正直なところ。最終日も春アニメを見るだけでお腹いっぱいになっていた。
 
=見るしかないだろ ◯=できる限り見たい △=見れたら見る ・=おもろすぎる続編勢
 
アストロノオト   (そばかすメガネ女子のキャラがツボすぎた...)
 
Unnamed Memory  (監督とシリーズ構成が個人的に好き)
 
WIND BREAKER  (恥ずかしいほど懐かしいヤンキー風景。演出面は魅力的)
 
オーイ!とんぼ   (意欲は感じられるが、実行力が伴っていないのが勿体無い)
 
ガールズバンドクライ(ストーリーはありがちだが、酒井和男さんと東映の底力が凄い。ボーカル曲以外の音楽の扱いも非常に良い)
 
怪異と乙女と神隠し (望月智充監督は好きなので当たりだろうと思っていたが、考えていた以上に原作力があるなと感じた)
 
怪獣8号      (アニメとしてのスペックが非常に高い。好みは分かれる。)
 
烏は主を選ばない  (架空の宮中ネタとしての品質が良すぎる。こういう作品を引っ張ってくるNHKは流石)
 
鬼滅の刃 柱稽古編
 
グリム組曲     (童話の怖さと女の怖さは....)
 
この素晴らしい世界に祝福を!3
 
ザ・ファブル    (こんなにおもろい殺し屋久しぶり)
 
SAND LAND: THE SERIES (全然原作読まず仕舞いだったが、やっぱ鳥山ワールドはおもしろい......)
 
時光代理人 -LINK CLICK-Ⅱ
 
終末トレインどこへいく? (色々考え出すと何かと怖い内容だが、荒唐無稽な世界を旅する少女達の青さに救われる)
 
戦隊大失格      (予定調和に飽き飽きしたやられ役の悲哀が生々しい)
 
T・Pぼん      (藤子・F・不二雄さんのSFは楽しい)
 
転生したらスライムだった件 第3期
 
となりの妖怪さん   (妖怪の居る日常系。麦わら被った猫又が愛らしい)
 
バーテンダー 神のグラス (久々の城アラキ原作。酒を飲まない人間でも惚れちゃいそうなバーテンダーがかっこいい)
 
花野井くんと恋の病  (未だにウブな少女を演じられる花澤香菜と云う達人)
 
響け!ユーフォニアム3
 
変人のサラダボウル  (何も考えたく無い時に良いかも)
 
忘却バッテリー    (腐れ臭が強いのが気になるかも) 
 
僕のヒーローアカデミア(7期)
 
魔法科高校の劣等生 第3シーズン
 
無職転生 Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール
 
ゆるキャン△ SEASON
 
夜のクラゲは泳げない  (何者かになりたい少女達は、ちゃんと夜の街で眩く輝いてた)
 
龍族 -The Blazing Dawn- (色々と荒い作品だが、中国アニメの新鮮さは確かにある)
 
ワンルーム、日当たり普通、天使つき。 (おまえら一生やってろ!系。まあかわいらしいんじゃないですか?)
 
 
今季のアニメは、いつも以上に物量があったような気がしてならない。これでもかなり切った方だ。見る価値を感じない大量生産異世界物や大作の続編が並び過ぎで、完全新規作品にまで手を出すのは大変なんじゃなかろうか?最初から面白いことがわかっている作品だけをチェックして満足してしまう人が居ても責める気にもならない。それほど弾数が無駄にあるのである。
 
異世界物が多いとはいえ、内訳的には幅広いジャンルが揃っており、力の入った新規から予算に苦しみながらも少しでも良い物をと頑張っている地味な物までなかなかの充実っぷりである。スポーツ物だけでも記憶を失った剛腕高校球児話の「忘却バッテリー」や、競輪をモチーフにした物、架空のカーレースまである。辺鄙な島の少女がゴルフの才能を見出され活躍していく「オーイ!とんぼ」なんかも、王道らしい展開が期待出来る作品だった。ただし、監督のやりたいことは伝わって来るのに、それを実現するだけの余裕が無さそうな感じなのが悲しい。仕上がりや腐女子目線で云うなら「忘却バッテリー」の方が断然上だろう。
 
 
日本のアニメの歴史は大正から始まったと言われ、鉄腕アトムから数えても60年以上が経過している。それだけの歴史があると「こういうの見たことある」と云うぼやきが、一定の年齢層から溢れ出てしまうのも無理からぬことで、作り手も”そう”思われてしまうことを前提にして仕事をするのも日常茶飯事だろう。たとえばガンダムSEEDであれば、枠組みの部分だけを初代とZをなぞるようにして、その上で自分ならこうすると云う選択を披露し、若者からは非常に支持されたが、初代好きからは少し嫌われた部分があった。この春の中で言うと、SAOにちょい足ししたような残念作が一番不快だったかもしれない。逆に、曲者だらけのアパートで訳ありの美人管理人さんとのラブコメが展開される「アストロノオト」が与えてくる既視感は心地よいばかりだった。作るのも見るのも大変悩ましい時代である。
 
 
古い作品の何もかも素晴らしいとか、よく出来ているとか、そんなことは絶対にない。採算を考えて作るのがアニメ。玩具を売るのがアニメ。手描きでやるのがアニメ。そういう時代の作品が完全無欠なわけがない。現代のような作画手法やツールが業界に浸透していなかった頃の作品は、良く言えば個性的、悪く言えばチグハグな物ばかり。原作やおもちゃが売れなければ即打ち切りのプレッシャーをバネに出来た一部の熱意ある作品のお陰で錯覚しているに過ぎないところも往々にしてあるだろう。無論劇場版であれば、金字塔と言える手描きの凄技が堪能出来る作品はごまんとあるが、決して”古い=凄い"ではないことだけは確かだ。
 
とかなんとか長々と前置きしておいてなんだが、藤子不二雄の「T・Pぼん」の再アニメ化はなかなか面白かった。ほのぼのした部分と狂気の側面のバランスが実に良い。取り柄の無い少年がタイムパトロールの隊員となり、歴史の谷間で不幸な死に方をした人を救う話で、タイムパラドックスに関しては色々とツッコミどころはあるが、藤子・F・不二雄氏らしいSFの味わいが実に香ばしい。くせになるOP楽曲も含め昭和生まれのおじさんにはご馳走だった。
 
 
ここ数年のNetflixはアニメに対する予算も潤沢だと言える。先にあげた「T・Pぼん」だけでなく、キャラ原案CLAMPの「グリム組曲」や、劇場公開と同時配信(5/24)となる「好きでも嫌いなあまのじゃく」、6/22から配信予定の”鈴木央”原作「ライジングインパクト」までラインナップされている。原作を大胆にアレンジしたグリム組曲は、ちゃんとグリム童話の世界を損なわない出来栄えで、女はまじこえぇなぁ.....と思いつつも目が離せなかった。実写化周りで少々管理が甘いようなところがあるネトフリではあるが、アニメを作る、楽しむ、それを実現させる為ならば利用しない手はない存在になりつつある。
 
 
これまで安心感のあったスタッフやスタジオの手掛ける作品は軒並み良く出来ていた。原作力は微妙だがCloverWorksと監督の演出センスで楽しめてしまった「WIND BREAKER」。 酒井和男さんと東映が半端じゃ無い「ガールズバンドクライ 」。何者かになりたい少女達を丹念に描く”動画工房”の「夜のクラゲは泳げない」なんかもすごく空気感の良さが光っていたと思う。どれもこれもおじさんには眩しすぎるくらいだった。夢の為に突き進むとか、人生で一度もしたことねーって......
 
 
逆に、おじさんの悲哀に刺さるような作品もある。怪獣を倒す部隊に入りたいのに、自分にはその才能がなく、怪獣の死骸を片付ける仕事に就くのが関の山な男が、まさかの怪獣の能力を手にし人生が動き出して行くと云う「怪獣8号」は文句なしにProduction I.Gな作品で面白かったし、現代日本に対する風刺としか思えない「戦隊大失格」も悪くは無かった。酒を飲まない人でも引き込まれてしまう「バーテンダー神のグラス」の渋さや、凄腕の殺し屋青年が暫く誰も殺さずに過ごせとボスに言われ、仕事上のパートナーの女と兄妹として新生活を始める「ザ・ファブル」の古き良き時代のヤクザ味溢れる笑いのセンスも大いに刺さった。ラーメン屋を選ぶ際、少々ボロいくらいの方が魅力的に感じちゃうおじさんには、どの作品も実家感覚で落ち着くテイストである。
 
 
いやぁ、本当に春アニメはおおすぎる。うっかり見始めたら止められ無い物ばかりだ。挙げればまだまだ面白い物が出てくる。珍しく”ゼロジー”頑張ってる「怪異と乙女と神隠し」、人の姿をした八咫烏の一族の宮中物である「烏は主を選ばない」、一定の年齢に達すると多くの人間が動物の姿になってしまうようになった世界で現在を精一杯生きる少女達の物語「終末トレインどこへいく?」などなど、好みによっては際限なく楽しめるはず。一体どうすりゃ全部見る時間を作れるんだよ.......
 
 
 
まじ時間足りなくない?⏰