無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

良い意味で観るのが怖かった「ルックバック」藤本タツキ/押山清高/感想

本当は観たくなかった。

 

これまでずっと避けてきた。

 

観終わった自分が、抜け殻になってしまうのが分かっていたから....

 

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学級新聞に載る漫画を描くことで、誰かの笑顔が自分にむくことに喜びを感じていた少女が、漫画とは言えないながらも自分より上手い絵を描く不登校の少女に対抗心を燃やし始め最後には筆を折るものの、その不登校の少女自体は自分の漫画のファンだったことが後に分かり、漫画を一緒に描く間柄になって行く。漫画賞を獲り読切を何度も掲載した二人は、高校卒業で進路を別つことになり、それぞれの道を邁進して行くのだが........

 

と、ここまでは書いては良いのではないかと思う。兎に角ストーリーそのものは普遍的なジュブナイルで、”ここ”からは試練やifの存在がチラついて感情が掻き乱される。漫画を愛す人間が、漫画を題材にした漫画は数多あるけれど、これほど簡潔に酸いも甘い詰め込んだ密度の作品はなかなかない。これはアニメを担当した押山清高さんの補完する力の大きさも当然あるが、原作力あっての物なのは、ジャンププラスにて無料配信されている原作冒頭を読むだけでも理解出来た。何度となく思わされて来たことだが、いい意味で藤本タツキは頭がオカシイ。

 

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で、まんまと主人公の少女同様に感情を弄ばれた自分は、虚な目でこれを書いている。書かざる終えなかった。どうせ昔みたいにぽんぽん文章が湧いて来るわけでもなく、ろくに本も読まなくなったから、気の利いた言い回しを思いつくわけでもないのに、何か残しておきたくなって書いているのだ。これが本当の意味でのクリエイターであれば、どれだけ感化されているか分かったものじゃない。藤本タツキが同業者から嫉妬と尊敬をどれだけ集めていることか想像するのも難くないだろう。

 

誰かが作った物が、誰かを動かす原動力になるかもしれない。それこそが、物を作ることの醍醐味だ。生き甲斐だ。止められるわけがない。上手いとか下手とか、そんなことはどうだって良い。それだって個性になる。自分の証明になる。なんなら自分が抱えてる劣等感を、自分が凄いと一方的に思ってしまった相手も抱えているかもしれないと理解出来た時、人は大きく成長するのだろう。ルックバックもそうした成長の物語でもある。一部精神を病んでしまった人間の扱い的に横槍を受けたようだが、そんなことは瑣末なことで、主人公が漫画と云う表現で引き篭もりの少女に悪意をぶつけたことと、直に暴力でもって他者を傷つけた男とに違いはあるのか?結果そのものの重さは兎も角、人が生み出す様々な負の産物に対し思いを馳せる方が先な気がしてならない。

 

 

人間は平等ではない。努力出来るのも才能なら、困難を乗り越えられないのも才能なんだろう。ただ、漫画を描く才能がありそうな主人公の少女だって盟友の残り香が無ければどうなっていたか分からない。何がどう転ぶかなんて、才能と関係なく紙一重なのだ。「自分には何も無い。」そう感じながら見た人もいるだろうが、”自分だけ”が何も無いのだと、決めつけるのは時期尚早である。そもそも”無い”のら、この先可能性しか残されていないのだ。なら、誰かを羨む暇なんてそれこそ無い。足掻いて足掻いて死ぬまで生きてみれば、人生なんて一瞬のことだ。

 

終わってみれば何も無いようで、実は色々”あった”ことに気づく。人の一生なんて多分そんな物じゃないだろうか?寿命の半分以上生きてみるだけでも、これくらいの予測は出来る。大体自分が理想とする生き方なんて、正直途中からどうでもよくなる。自分が貰った返す宛の無い掛け替えの無い物の貴重さが、生きれば生きるほど理解出来るようになり、誰かから奪うことより、与えることの方が安らぎになって行くものである。

 

まあ、それでも生きて行くためには奪い合いは否めない。それは今日本を生きていれば誰も否定しないだろう。でも、それでも、時折ほんの些細なことでも良い。誰かを思い遣る選択をして、温かさを循環させ枯渇させないで欲しい。必ずそれは巡り巡って自分を豊かにするはずだから。

 

 

 

こんなことを書いていると、ほんとプラスになることだけに敏感でいられたら、どれだけ幸せなことだろうか?と考えてしまう。鈍感力こそ現代人には必須のスキルに違いない。忘却が得意な人も人生得していそうだ。

 

なんだか脱線したけれど、感受性が鈍化したおっさんが大いに震えた良いアニメでした。少女たちの歩くシーンの使い方がが特に素晴らしかった。こんなの劇場で観たら立てないよ.....

 

だから見たく無かったんだよなぁ.....歳とると刺激に弱くて..........

 

 

 

そう言えば是枝裕和さんによる実写も大変なことでしょう。これは非常に覚悟が必要な作品だから.....

 

見たいけど見たくないなぁ実写...........

 

 

 

 

あ、そうだ。円盤買おう。メイキング見たいわ......押山清高さん非常に興味深い人物なのよ.......

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