無差別八方美人?

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作ることをやめない男は見飽きない「HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS」小島秀夫/ディズニープラス/ドキュメンタリー/感想

俗に云うゲームと云う物を遊ぶようになって、かれこれ35年近く経つが、それらを作っている人として、此処まで好きになったのは小島秀夫監督ただ一人な気がする。
 
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日本と云う国は、研究者と云う存在一つとっても、所詮組織の一人として扱う傾向が未だにあり、どれだけ個人の貢献が高くとも、組織以上に目立つことを許さず、なんなら金を与えることも控えめだ。
 
そもそも、金を分配すべき世代自身が、自分たちの貢献に対する報酬への不満を抱えながら、忍耐で働いて来た人達であるから、それも当然の流れなのかもしれないが、世界を相手に何かを成し遂げたいなら、そんな物は足枷以外の何物でも無い。歯止めの効かない少子化の中、海外への人材流出まで止まらないようでは、この先お先真っ暗である。
 
小島秀夫と云う男は、そんな日本で育ちながらも、海外の人々から大きな支持を受けるようになったゲームクリエイターだ。限られたバジェットの中、やれることを模索して生み出したステルスゲーム「メタルギア」シリーズや、有名SF作品から大いに影響された「スナッチャー」「ポリスノーツ」等々、を経て、自身のスタジオを立ち上げての「デス・ストランディング」を発表。時代を先取った物語性や世界観に、世界中のゲームファンが魅了された。
 
流石に此処まで面白い人間だと、過去にもドキュメンタリーの一つや二つ存在するのだが、海外ドキュメンタリーとして製作された物は、あまり記憶がない。デスストに有名どころが多く関わっていることや、世界規模の大人の事情が絡み合って実現した映像作品なのだろう。1時間程度の尺でもあるし、そこまで小島秀夫の仕事姿を追った物にはなっていない。全体的には、これまで様々な場で言って来たことの繰り返しでファンサービス的な印象を受けた。
 
しかし、その”有名どころ”のコメントが実に面白い。日本人のオタクにはお馴染みの押井守であったり水口哲也さんなどもいるし、当然主役のノーマン・リーダスも天板ネタで笑わせてくれる。そしてレフン監督のコメントには、昨今の物作りに対する解像度の高さを感じて共感しかなかった。最高すぎる。これだけのプロ達に評価される人間を、クビにした会社があるだなんて、本当に信じられない。見る目が無さすぎる....
 
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ドキュメンタリーの中でも言われていたが、彼の作品には携わる人間も理解が追い付くまで苦労する面があったり、ユーザーに対しても万人を満足させられるとは限らないものの、人々にひらめきを与える物が小島秀夫作品には必ずあると思う。人生も折り返しを通り越してしまった身としては、新しいことを社会の中で見つけるのは本当に難しくなって来たので、自分以上の年輪を重ねた男が与えてくれる刺激には、本当に感謝している。
 
彼のゲームを遊ぶと、形容し難い気力が湧いて来るのだ。
 
まだまだ生きるのも捨てた物じゃないと。
 
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彼のようにはなれないだろうが、せめて自分もアルゴリズムの敵でありたいと思った。