地上波放送分で観れるものは粗方見終わった。北海道では放送しないもの、アプリやネット配信でしか見れないものは、PVをチェックし気になったものだけ視聴してみた。
今回は2クールものの入れ替え時期も重なったせいか、新作の数が兎に角多いように思ったものの、その分安定しない作品も多く、正直トータルバランスの高さを感じたのは「風が強く吹いている」くらいだった。
愚直な男を書かせたら上手い”三浦しをん”さん原作で、駅伝を目指す馬鹿に独立愚連隊状態の連中が巻き込まれていく話なのだが、流石はProduction I.Gで人間が走るという描写に余念がなかった。癖のあるキャラ付けも良く、これぞ王道というのを素晴らしい完成度で楽しませてくれている。これはまたアニメの影響で『駅伝始めました!』馬鹿が増えそうだ🏃♂️
あとはそう、イロモノとして尖ってるのは「ゾンビランドサガ」だろう。”宮野真守”が自由に演じているだけでも面白いが、ゾンビとしてこの世に復活した少女達が、アイドルとなって佐賀を救うとかなんとか言い始める頭の悪さが最高に楽しい(女の子達のゾンビ声も意外にリアル)
今期は作画が残念な作品が多い。完全に酷い作画というのではなく、全体的には良くて内容も凄く面白いのに、肝心な時ちょいちょい乱れたり物足りなかったりするのが勿体のだ。世界がモノクロに見えてしまう少女が、祖母の魔法で過去へと送られ色のある世界を取り戻していく「色づく世界の明日から」もそうで、ちょいちょい動きが足りなかったり、違和感があったりして惜しかった。普通の日常に、魔法が当たり前に存在している世界で、いつからか色彩を失ってしまった少女が祖母に過去へと送り出され、右も左も分からないなか色を取り戻していくストーリーや、色鮮やかな美術も素晴らしいので、尚更些細な乱れが気になってしまいました。
その他視聴予定作品(特に気に入ってる作品にはなんとなくを付けた)
良いスタッフをどれだけ確保出来たかが色濃く作品に反映されている気がした。作画や演出の面だけでなく、制作を統括する能力の低さも露呈していたように思う。アニメの出来栄えに原作者が苦虫を噛み潰しているのが容易に想像出来てしまった。
僕だけでなく、大勢がそう思っていることと思うけれど、数撃ちゃ当たるでは長く記憶に残るアニメは出来やしないものだ。一瞬で消化されおしまいである。子供の愛らしさと筋肉の造形に拘ったメイドがウザいアニメのように、あるポイントにのみ特化した作品も確かに面白い。あれはあれで素晴らしいほど有益な才能の無駄遣いだ。「やがて君になる」も、人を好きになるという感情が分からない同志を見つけたと思いきや、その相手が自分にキュンキュンしちゃって裏切られてしまう少女を演じる”高田憂希”の良さが次回も観ようという気にさせてくれる。でも、結局それだけで終わってしまうのだろう。今この瞬間のためだけに作られるのがアニメになりつつある。いや、既になっているか....
ジャンルのバランスは良く、けしてハーレム物・BL・乙女ゲーなどに偏っているわけではないけれど、今一歩作り込めない現場の乱れがやはり目立つ。もう10年以上人材不足、収益分配の不公平が叫ばれているが、いよいよ膨らみきった風船が弾ける瞬間が近づいているのではないかと邪推したくなった。
辛くとも仕事に胸を張れる現場作りを是非目指して貰って、ついでに僕らが余計なことを考えずに済むような作品にしてくれたら嬉しいなと思う。