僕はブログを書くとき、なるべく正確に自分の感じたことが伝わるよう試行錯誤するのですが、不勉強な上、元々直感で生きて来た人間なので、どう言葉に落とし込めば良いのか本当に悩んでしまいます。
マイケル・キートンの年輪が滲み出て、まさにハマり役だったと感じた本作も、何をどう説明すれば凄い映画だったことを表現出来るか迷ってキーを打つ手が進みません。
そもそも映画を観に行くスタイルもかなりアバウトです僕は。なんとなく良さそうな雰囲気を感じたら、作品内容を事前にチェックしていなくても普通に観に行きます。バードマンもほぼなんの映画なのか知らずに観ました。
「なんか面白そう」
ただそれだけ。
その直感に裏切られることもありますけど、バードマンは凄く良かったです。どんどん引き込まれました。これぞ映画だと言わんばかりの演技に演出に音楽に脚本にぐぅの音も出ません。
バードマンと言うヒーロー映画シリーズで有名だった中年俳優が、もう一花咲かせようとブロードウェイで舞台をやろうとする作品だったわけですが、もう初っ端から超常現象なのか、ただの精神描写なのか分からないシーンから始まり度肝を抜かれました(詳しく書くとネタバレになるから書きません!)
なんとか舞台を良い物にしようと、良い役者を引き入れるも性格に難がある男で問題ばかり起こすし、一緒に舞台を作っている女優は自分の子供を身籠ったと詰め寄って来るし、別れた女房との娘(薬物依存症の治療中)を付き人に雇っているものの、上手くコミュニケーションを取れず衝突してばかり。
何かと踏んだり蹴ったりな中年役者が、ヅラを被り弛んだ腹を惜しげも無く晒す姿は、見苦しいやら悲しいやら、将来の自分を重ねてしまって切なくてたまらなくなります。しかし、そんな彼の醸し出す憂いがどんどん作中の舞台演技に反映されてゆくから凄い。娘や売れっ子役者にあんたは終わっただの、批評家に初戦あなたは映画役者でしか無い、舞台舐めるな!だの言われ追い詰められた結果の熱演には痺れます。
兎に角マイケル・キートンの演技が素晴らしい映画なのですが、脇を固める連中の良さが、彼の演技を引き上げる結果に繋がっていたように思いました。売れっ子役者役のエドワード・ノートンや元妻役エイミー・ライアン、更には濃厚な女同士のキスシーンを見せたアンドレア・ルイーズ・ライズボロー達が居てこその映画でもありました。
また、長回し風に撮っているカメラワークや、そのバックで流れるジャズドラムの独特な味わいも面白かったですし、映画畑の人たちが映画界の在り方を批判しつつ、それでも俺たちは映画を撮るぞと奮起するような自虐的脚本といい、凄く玄人好きする作品なのかもしれません。
もしかするとマニアックな作品に見えてしまって、中年のおっさんに共感出来ない人はつまらないと思う可能性もありますが、主人公の精神状態を表現した演出の数々が非常にファンタジーなので、夢か現かといった作品が好きな人にはオススメ出来そうな気もします。
あるいは、あまり深く考えず「バ◯トマン」に翻弄された役者マイケル・キートンの再生の物語として見に行くのが吉かもしれませんね(=3=)v
バードマン公式ウェブサイト
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