無差別八方美人?

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彼から託された物を、僕達はこれからどうしてゆけば良いのか?...「グランツーリスモ6 アイルトン・セナ・トリビュート」/2013年/ソニー/PS3/感想

 1作目から十数年振りかにグランツーリスモを触った。
 当時、あまりにもリアルで面白いと周りが騒ぐので買って遊んでみたものの、シミュレーター系レースゲーム典型のもっさり感がゲームとしてあまり楽しく感じず、通常のコントローラーで遊ぶのが難しい操作性にイライラしたり、ぶつかっても壊れない車&ペナルティが無い仕様にどこがリアルだ!と、捻くれ心を刺激されて早々に遊ぶのを止めてしまったことを今でもよく覚えています。
 身近でよく見掛ける実車から夢のスーパーカーまで幅広く運転出来るのは魅力的ではあるけれど、結局ゲームとして面白いと思ったのは車が汚れるのと、無駄に洗車が必要だという遊び心だったかもしれない。
 あれから15年の歳月で亜種を除けば6作品を輩出し、Forza Motorsportを除けば並ぶ作品が無い人気レースにいつのまにか成り上がったわけですが、やっぱり僕は15年の間一向にGTシリーズに興味が湧かなかった。リアルな挙動より走らせて楽しいゲームが好きでしたので。
 でも、今回のアイルトン・セナ トリビュートという追加コンテンツだけは見逃す事が出来ませんでした.....
 去年の10月にグランツーリスモ6とアイルトン・セナ財団とのパートナーシップが発表され、GT6が発売されて半年も待たされての今回のアイルトン・セナ トリビュート企画。若干待たされた分否が応でも期待は高まっていたわけですが、実際遊んでみるとかなりしょぼい。これ目的でGT6を手にした僕は、ここでGT終了のゴングを聴いてしまった.....
 セナのキャリアを辿ると銘打って制作されたものの、スライドショーでセナの懐かしい写真を見たり、綺麗なモデリングで再現された彼の愛車を眺めるのはともかく、追体験とは言えないレベルのタイムアタックオンリーなレースしか用意されておらず(カート時代、F3時代、そしてロータスでのF1時代を合わせてもたった4つだけ)、しかもオブジェクトに少し触れたり車1台分コースからはみ出しただけでも失格の烙印を押されるハードな内容なために、当時のシビアなマシン挙動もあいまって心が非常に折れました....
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 挙動の難しさをなんとかしたくてアシストを色々調整してはみるものの、このアシスト設定にも癖があって何度も微調整しなければまともに走れないのにもイライラ。そうでなくてもPS3のスティックは背が高く、レースゲームに向いて無いですしね。
 確かに「こんなタイム出せるのか?」と、セナの偉大さを思い知るには良いコンテンツかもしれませんが、ゲームとしてはストレスばかりが残りました。今時のレースゲームは一瞬気を抜いた途端コースアウトする作品ばかりですから、フォルツァのリワインドや、DiRTのフラッシュバックのような巻き戻し機能が無いGTは硬派過ぎてやる気が失せます。
 無料コンテンツだからこの出来とボリュームでも仕方無いのかもしれませんが、往年のマシン&ドライバーがひしめく中でセナの乗っていたマシンをドライビングしたかったです。これじゃあ単純にセナの名前で客引きをしているに過ぎないですよ...
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※若いセナ結構ベビーフェイスでしたねぇw
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※実写・実車かと見間違うほどライティングが良いですGT6。
 これはセナに限ったことでは無いですが、亡くなった方を引き合いに出して商売をするのは危うい物だとつくづく思いました。今回のコラボのドキュメントというか、セナ財団のCMのような特典映像「Ayrton’s Wish(YouTubeでも観れます)が収録されているのですが、セナのレース姿も知らない若者達がセナに感謝しているシーンや、高そうなブランド物のドレスを着たセナの姉ヴィヴィアーヌが財団とブラジルの将来について話をする姿に薄ら寒い気分でいっぱいになりました。
 ブラジルを愛していたセナの想いを大事にするのは僕も大賛成だし、それがこの先の若者達のためになるなら是非活動は続けて欲しいけれど、本当の意味でセナの意志や希望を引き継ぐのならば、いつまでも死者に甘えず各々が強い信念と努力と感謝を忘れず生きることこそ大事だと僕は思うのです。ブラジルを変えたいと語りつつも、独り立ちできないヴィヴィアーヌさんや他のブラジルの人達が、セナの名前で世界中からお金集めをするしかない現状をどう考えているのかが気になってしまいますね....
 人それぞれ愛し方は異なるし、正しさも同じだけあるだろうけど、残念ながらGT6とセナ財団のセナに対する敬意の表し方は僕のそれとは違いました。非常に残念。
 ただ久しぶりのGTは案外楽しかったし、月面ローバーに乗れるイベントがあるとか聞いたので、もう少しGT6遊んでみようと思います。
 それにしても、やっぱりPS4のローンチタイトルとしてラインナップに入れるべきでしたね。時期的に勿体無くて仕方ないw
 アイルトン・セナ トリビュート http://www.gran-turismo.com/jp/senna/