知的障害を抱える青年”トジュン”を、誰が見ても痛いほどに溺愛している母。
その度合いは、御飯の食べ方から喧嘩の仕方まで手ほどきするほどだw
しかし息子はそんな心配も他所に、悪友と日々遊び過ごす毎日。
当て逃げしたベンツの運転手をゴルフ場まで追いかけ回してみたり、金もないのに酒を呑んだり、とにかく仕様もない有様.....
そんな大馬鹿息子トジュンは、母親の目の前で殺人容疑で逮捕されてしまう。酔っぱらって帰宅中声を掛けた少女を撲殺した容疑を掛けられたのだ。
警察は、確たる物的証拠も無いままトジュンを犯人に決め、なくなく泣きついた弁護士にも見捨てられ、母親はとうとう自分でなんとかしようとするのだが....
とにかく母親の溺愛っぷりが気持ち悪いんです。
一緒のベッドで寝てたり、小便を垂れる息子のあれをまじまじと見たり、結局最後は現実を受け入れる事さえ放棄してしまうほどですから。
映画が進むにつれて、徐々にトジュンの障害に苦しんだゆえの溺愛なのだろうと、自分の中で理解しそうになったのですが、最後の最後であれではね.....韓国映画ってのは、スッキリと終らせる気がホントにないですよねw
母親の弱く脆い感情を、鋭く描いた作品と観ればそうなのかもしれない。真犯人とおぼしき男が捕まり釈放になったトジュンから、ある物を手渡された母の最後のあの姿....凄く虚しいラストでした....
しかしまぁトジュンを演じる”ウォンビン”のダメっぷりがハンパじゃないっすねw「アジョシ」でのウォンビンとこれほど違いがあるとは....やっぱ上手い役者ですウォンビン♡
母役の”キム・ヘジャ”さんも熱演でした。あまりの熱演に、普通に嫌悪感を感じるほどでした。冒頭でイキナリ踊り出した時は何かと思いましたwちゃんとストーリーに繋がっていたんですね、あの冒頭...
身近にも知的障害を持つ人がいるので、あまり知的障害者や、認知症の人間を悪い存在として扱ってほしくないのですが、やっぱり世間一般からすると、理解するのが難しい存在なのでしょうね。
”何を言ってるのか分らない” ”何を言い聞かせても分ってくれない”
伝達する難しさが、壁を作ってしまい、理解出来ない存在を「怖い」と思わせてしまうわけです。
実際には、知的障害者の起こす事件より、普通の人間の方が事件を起こしているんですけどね(;´Д`)
「殺人の追憶」と言い今作と言い 、”ポン・ジュノ”監督は面白い映画作りますね。やたら皮肉が効いてるのがまた良い。警官や弁護士をこき下ろした感じも、そして、息子の無罪を信じる愚かな母の末路も...
後味は良く無いが、とても味わい深い映画でした。
(´-`).。oO(そういや「母なる証明」って言うのもなかなか洒落が効いてる和名タイトルだったなぁ....