数年前話題になった「楽園追放」をAmazonプライムビデオで見掛け、なんとなしに見てみた。
周囲の反応や予告映像などから予想していた出来栄えから、それほど外れることもなく、良い作品だなと普通に思った。
そう、普通の良いアニメだった。
ナノマシンの暴走で地上での生活が困難になり、人類の98%が肉体を捨て宇宙ステーションで情報体として生き長らえているという設定の時点で個人的にかなりツボで、無重力の電子世界で機械的な考え方しか出来なくなった人類と、地上のアナログな世界で人間味を養ったAIの対比が非常に面白い作品だった。
両者の間で何が正しくて自分のしたいことなのか?を考えることになる主人公が、程よいカタルシスをもたらしてくれるのも悪くなかった。尻とおっぱいが良いのが分かっていたけれど、それだけじゃないキャラだったんだなぁと思わされた。彼女の相棒役になるチャラい感じの男も、そこそこ良かった。これは三木眞一郎さんの力によるところが大きいだろう。
でも、キャラクターのMVPは人間ではなく神谷浩史の演じたAI”フロンティアセッター”だった。正直言って人間のキャラデザに関してはやはり微妙。表情を豊かにしようとする度、可愛い顔が歪になるのもそうだし、相棒の男になると根本のデザインが良いと思えない。好みもあるのだろうけれど、”ありふれている” "ニコ動などのMMDみたい"という意見にこそ酷く納得する自分がいた。せめて地上に降りたら露出を抑えた目立たない格好に着替えるとか、相棒の男をもっと老けた中年にする(CV大塚明夫)とか、これだけ魅力的な世界観ならもう少しやりようがあったのではないかと欲が出てしまう。
シドニアの騎士のように、特殊な環境下にある人類ならば、3DCGの味わいが生きる場合もあるし、一概にCGキャラが悪いとは言い難いものの、ディズニーのような3DCGの方がまだマシに思えてしまうほど、日本の3DCGの技術はまだ怪しいと言うしか無い。予算的な制限はあるのだろうけど、「STAND BY ME ドラえもん」級の物がぽんぽん作れる時代になって欲しいものである。
面白かったのは面白かった。ずんぐりむっくりなメカも、アクション込みなら物凄く格好良かった。主人公が情報体をメカに移し大気圏へ突入するシーンがお気に入り。自転している惑星上で戦っているのだとちゃんと伝わる描写だったから。
アップルシード的な立ち位置も期待出来る世界観をこの作品だけで終わらせるのは勿体無いくらい良い出来。でもだからこそ手放しで褒める気にならない。
だって水島精二だし。これくらい作れて当たり前だと僕の中ではハードルが上がっているのであります。
次はおっぱいと尻と釘宮に頼らないガチのやつをたのんます