俺の名はフランク。フランク・ウェスト。フレッドでもフランキーでもなくフランクだ。
スクープの匂いを嗅ぎつけてこんな田舎まで出向いたは良いが、戦場カメラマンでもある俺でさえ、こいつは手に負えそうもない。なにせ、ここじゃ死んだ連中が平気で歩き回ってやがる。この場所に比べれば死者が黙って地に還るのを待っている戦場など楽園そのものだ。手が捥げようが胴体に風穴が開こうがお構いなしな連中に言葉は通じない。ここは一つ、原始的なコミュニケーションで乗り切るしかない。
黙って喰われてお仲間になるのだけは願い下げだ…
昔からゾンビ物は映画でもゲームでも好きだったものの、デッドライジングのようにゾンビがうじゃうじゃ歩き回るゲームは初めてだった。当時の次世代機であるXbox360の性能を上手く引き出しているタイトルだから、今遊んでもよくこれだけ大勢のゾンビを演算できるものだと感心してしまう。この時期のカプコンはイ・ビョンホンを起用した「ロストプラネット」や、日本の和の世界を存分に振るった「大神」共々、新規IPが兎に角面白かった。
ただ、バイオハザードと同じく、あえて移動し辛い仕様にしたシステム周りには、やはりストレスを感じてしまう。情報をくれるおじさんの無線に出ている間は攻撃が出来ない(無線の途中で切るとしつこく連絡してくる。出ないままだとそのコール音でゾンビが集まるし非常に迷惑)し、銃火器の精密射撃は歩きながら出来やしないし、そう簡単に壊れそうに無い武器があっさり寿命を迎えるし、放っておけば勝手に時間が進んで他の生存者は勝手に死んでしまうし、いざ助けようとしてもいちいち誘導しなければろくに付いて来ないためイライラさせられる。
こんな自分自分自分なおばさん助けたくない....
ゾンビより怖い生存者の顔顔顔....
HDリマスターで映像が綺麗になったぶん、粗さも綺麗に浮き彫りになってしまった気もするが、ベンチでもスケボーでもオモチャの銃でもありとあらゆる物を利用出来る自由さや、実際に写真を撮りながらジャーナリストであるフランクと共にゾンビより怖い人間の浅ましさを味わえるストーリーの魅力はまるで色褪せていない。新作で三度ゾンビの楽園へと脚を踏み入れることになったフランクさんを尻目に、もう暫くは初々しいフランクさんとウィンドウショッピングを愉しもうと思ったヘ( ゚▽。ヘ)