”女子高生”
それはしがない中年(♂)にとって、色んな意味で憧れを抱いてしまう眩しい存在である。
特に上司や家族に小言を言われ、好きだった事(物)も年々素直(新鮮)に楽しめなく(感じなく)なり、いつの間にか笑えるのは他人の不幸と萌えアニメだけ、なんてことになりつつある社畜(♂)には、幼過ぎず熟れ過ぎない身心を武器に、先のことなど考えず若さを浪費する彼女達(一部の目立つ人達のこと)の素直な有り様が羨ましくてならないはず。出来る事なら今直ぐ女子高生に成りたいオヤジが世の中にはごまんと居ることだろう。
僕も例に漏れず、女子高生限定では無いが若者に羨望の眼差しを送る身であるからして、拗れた人生に苦悩する男達が女子高生の格好をした巨大ロボットに乗るという「女子攻兵」のトンデモストーリーはかなりツボに入ってしまった。
論より証拠。未読の方は是非読んで見て欲しい↓
「女子攻兵」第1話試し読み http://comic.pixiv.net/viewer/stories/886
一巻を読んだ時の僕の反応→『機◯戦士より僕はこっちに乗りたいっ『女子攻兵』/松本次郎/バンチコミックス/新潮社/2011年~/漫画/感想』
“次元世紀2011年。人類は、人知を超える高性能コンピューター「預言者」が人々の自由意思を侵害しない範疇で管理することで、理想社会を構築しようと試みていた。
「異次元空間」に新天地を求めて移住した人々は、やがて地球からの分離独立を求めて武装蜂起した。異次元独立開放戦線(通称「EZO」)と地球連合軍による「異次元戦争」の勃発である。
戦争は拡大、長期化。戦局を打開する為、地球連合軍は預言者によって開発された、従来兵器の全ての攻撃を無効にする新兵器「女子攻兵」を戦場へ大量投入する……….。”
※pixiv公開の「女子攻兵解体新書」より
「愛憎」 好きと嫌いが入り混じる言葉だが、女子高生に対する僕の気持ちを的確に表しているのが正にこれだ。自由気ままに過ごしている彼女らへ、自分勝手にムカついていながらも、もしも彼女達になれたらどれだけ気持ち良いかと心の底では思っている。身も心も女子高生になれるのならば、たとえ巨大な兵器であっても女子攻兵に乗ってみたいのだ。
だが、女子攻兵に乗ると現実を忘れて馬鹿をやれて気持ち良い、だけでは済まず、乗れば乗るほど精神が汚染されて本来の自分が壊れてしまうと言うから腰がひける。ネット世界に閉じ込められてしまう最近流行りの物語と同じように、”自分”を定義する物に葛藤しつつ任務を果たそうする主人公の背中を見ている分にはカタルシスを感じて最高なのだけど、やはり理想は「らんま1/2」みたいに、元の自分を持ったまま簡単に性別(ついでに年齢も)を入れ替えられるのがベストだなと、しみじみ思った。そうだ、呪泉郷に行こう(棒読み)
女子攻兵に支給されるケータイに毒され、暴走した機体
何者かが送って来るメールに踊らされる女子攻兵達
緊張感ゼロなタキガワの仲間達
女子攻兵に乗りたくとも乗れなかった大佐は実に良いキャラだった....
エログロな整備ハンガー
そしてパン
チラ
そんな僕のコンプレックスを刺激する以外にも、奇抜なSF設定や女子攻兵の整備風景、戦闘シーン、どうでも良い女子攻兵同士のやり取りの面白さなどなど、何処を掬ってもた女子攻兵。なにぶん異次元での出来事だから、主人公のタキガワは人知を超えた状況に次々と巻き込まれるし、補給も期待出来ない敵の懐の真っ只中へ向かうことになる彼らが、自分とは?女子攻兵とは?ツキコとは?と、自問しながら任務を果たそうとする姿が思いの外深い。どう転んでもおかしく無い状況でありながら、もっとも納得出来る形で収束したのも個人的に凄く胸が熱かった。ネタバレはしたく無いので書かないが、けして女子高生のセクシャルな部分だけを見せる作品では無いとだけ言っておこう。
たとえ本作の設定が女子高生を漫画の中で好きなように弄びたいが為の抜け穴だったとしても、その悪趣味さと自然発生的なメタファーが作った奇跡の海をタキガワと共に自己探求出来たのは愉しかった。これはこの先描くであろう作品達のハードルを自分で上げ過ぎたでしょ松本次郎さん? ζ*’ヮ’)ζ