最近なかなか高まらない漫画熱が連休も最終日の夜(三連休しか貰えなかった勢)になって燃え上がったので、一気に三冊読み切って思ったのが、案外「裸者と裸者」の上下巻だけで完結だと言われても納得出来る内容だったんだなということでした。
戦争は一応の決着を迎えているし、衝撃的な結末に終わらない暴力の救い難い性をしみじみ噛みしめることが出来るから後味も素晴らしい。良いも悪いも無い戦争は、永遠に付き合い続けるしか無い代物なわけで、再編して行く勢力との小競り合いを最後まで描く必要なんて実は無かったのかもしれません。続編である「愚者と愚者」で描かれるゲイ・ヒロイズムを掲げカイト達に反旗を翻す”黒い旅団”の救いの無い話も大好きですけどね。
裸者と裸者以降、かなり辛い別れの連続(これまでも十分辛かったけれど)が待っていますし、漫画版だけを楽しんだ人達はこのまま原作を読まずにしておくのも有りなのでは無いかと思いました。
↑好き勝手に逞しく泣き笑いする月田姉妹を見ていると、真剣に戦争をするのが馬鹿馬鹿しくなって来る。
生きるか死ぬかなんて考えず銃をぶっ放し。偉そうに戦争の在り方を押し付ける男達の言うことは絶対聞か無い。やりたくなったら男でも女でも関係無くやる。何度仲間を亡くしても、全部背負って笑い飛ばす。そんな彼女達が大好きだ。
ハードボイルドが一体どんなものか定義するには、僕の読書量では圧倒的に少ないですが、打海文三さんのハードボイルドを彩る人々は、子供の純真さを持ったままである、もしくは拗らせた人々ばかりだから、こんなにも僕の心を鷲掴みにしているのでは無いかと感じます。漫画版は、かなりキャラや勢力が分かり易いように脚色しているのに何故ちゃんと打海文三さんの世界だと感じられるのか不思議でしたが、そういった純真さ故の〜を、しっかり出せていた点が良かったのかもしれません。
それにしても自由度の高いコミカライズでした。何処から何処までオリジナルだったか分からなくなるくらいぶっ飛んでいました。原作者である打海文三さんが既にこの世に居ないことが功を奏したなんてこともあるんでしょうかね?....
あぁ、凄く原作を読み返したくなって来た.......
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