宇宙皇子は人間であって人間ではない。天の子を宿した人から生まれたのだから所謂ハーフだ。
でも天の子だからと言っても、見た目は頭に角がある程度で、他の子供と変わらない彼は人並みに怒って泣いて笑う。
それでも誰よりも早く霊能力を身につけ、力を発揮し始めると少しずつ周囲との差が明白になって来る。何十年もかけて常人が手に入れる力を皇子は自然と手にして、いつしか師を超える者へと成長して行くのだ。
まだ1期の3冊目ということもあり、政治を知る者と一般人の感覚にじりじりする皇子と仲間達といった構図に終始してはいるが、人のように年老いることが無い皇子は、この先途方無い出会いと別れを繰り返して行くのだったと思い出し、感慨深いものを時折感じています。
彼に優しかった者、敵対して来た者、それぞれに理念や想いがあるから、敵味方関係無く現世での死には虚しさが募るし、皇子は亡くなった人と天上界やその狭間で出会うことすら出来るので、そこでまた新たなドラマが生まれるのもやはり良い。
真に人のためになる事とは何か?
そのためにまず自分がどうあるべきか?
何度も何度も失敗を繰り返し、それでも求めずにいられない宇宙皇子の「何故?」
その問いに対する答えは一つでは無いだろうし、まして何処にも無いのかもしれない。見つけたと思った傍からガラガラと崩れ去ってしまうのも茶飯事だ。
だから未だ己の器も知らない皇子や未熟な僕らにとって、ある種の到達点にいる小角という人の自発性を刺激する教え方は実に理にかなっている気がしてならない。
自分達だって経験からルールを導き出しているのに、身をもってそれを教えるどころか、避けて通ることばかり押し付ける今の時代の大人には絶対実現出来ない事を小角はやってのけていると思う。
皇子と小角のやり取りを読めば読むほど答えは教えて貰うものでも、教えてあげる物でもなく、自らで掴み取る物なのだという想いが改めて強くなりました。
もう30も半ばを過ぎた私だが、この先もまだまだ生きて行くために何か拠り所となる何かを是非見つけたいものです(´_ゝ`)