後味の悪い映画だった。
※ネタバレマスっ
何が胸糞悪いって、将来への不安はあってもまだまだ安定した生活を送っているアメリカ人船長と、間抜けなシージャックの主犯である若者以外、軍の手によって機械的に殺されてしまったこと。そして、そんな胸糞悪い展開に陶酔しているアメリカ人の小綺麗な正義がチラつくまとめ方だったことだ。
ドキュメンタリーに限った話ではないけれど、アメリカと言う国は本当の意味で公平な物の見かたをした作品を作るのが本当に下手だ(日本も似たようなもの)。どうしても敵を敵としてだけ描くか、敵を敵たらしめてしまった責任に酔った内容にしがち。船長の救出が失敗に終わり犯人共々死んでいたら、シージャック犯に少しでも同情していた船長や、事件解決に尽力した海軍達の美談を描いた映画では無いことを証明出来たことでしょうね。それはそれで後味が悪かったでしょうが....
常に自分達は風上に居たい国アメリカ。その上から目線を止めなきゃいつまでも敵は減らないでしょう。コバンザメな日本も同じように見られているであろうことを肝に銘じなければないないなと思いました。
それにしてもここまでミリタリー要素の濃い映画とは思ってなかったです。シージャックが起きた時、船舶がどんな対応をするだとか、救助の要請に軍がどう動くかばかりを描かず、もっと犯人達が海賊行為に走らなければならなかった理由を重く表現して欲しかった。
途中までリアリティのある演技をしてたトム・ハンクスも、終盤に近づくと演技が臭くて臭くて嘘っぽかった。無力なおっさん役としては適任でしたけどね....
どうもムカムカする映画でしたが、人間の命の重さは平等では無いことをしっかりフィルムに収めたことだけは良かったのかもしれません。