無差別八方美人?

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規制規制と五月蝿い時代をぶっ潰せっ!「渇き。」中島哲也(監督)/役所広司(主演)/2014年/映画/感想

 今朝起きたら身体のあちこちが強ばって倦怠感が半端じゃ無かった。
 土曜日の仕事が忙しかったのもあるけれど、その後レイトショーで観た「渇き。」が鑑賞者の心身を削り取るような緊張を提供して来る映画だったからかもしれない....
 冒頭、時間軸が入り交じったラッシュが流れ、クリスマスの幸せそうな家族や恋人がちゅっちゅする中、「クソがっ」と車の中で毒づく役所広司。ここではなんのことやら分らないが、とにかく今回の役所広司は一味違いそうだと初っ端から見入ってしまった。
 とある問題を起こして辞めざるえなかった刑事崩れの主人公”藤島昭和”が、失踪中の別れた女房との子供”加奈子”を探すことになり、友人関係からあちこち調査しているうちに、本当の娘の姿を思い知らされ、どえらい騒動の渦中に引きずり込まれることになるのですが、とにかく役所広司演じる主人公のクソ野郎度の高さが凄いです↑ 統合失調症を抱えているとはいえ、気に入らないことがあれば女子供だろうが容赦しないで直ぐ暴力だし、自分を利用しようとしているニヤケ顔の後輩刑事(妻夫木聡くんの腹黒演技めちゃ良い!)を車で跳ね飛ばしながら笑っている始末... 色々と同情の余地がありそうな男なのに、そんな同情さえ寄せ付けない気性の荒さがとても魅力的に見えてしまう主人公なので、普通なら笑えそうに無い場面でも自然と笑えてしまうから不思議でしたw
 酒にタバコに女にと、かなり駄目駄目でドぎつい主人公ですが、それ以上にクソ野郎、否、クソアマなのが主人公の娘”加奈子”であります。苛められっ子から財界人。果ては自分の親でさえ自分の手のひらの上で弄ぶ様は美しくも恐ろしい....(演じている”小松菜奈”ちゃんがかなり良い表情で演技してるので、清らかな可愛さと悪魔の残忍さが共存した加奈子がちゃんと成立してました) こんな可愛い子になら弄ばれたいと考えてしまう馬鹿が居るのは理解出来るけれど、結局この娘の本質は何処にあったのか良く分らず尚更怖かった。小説版ならもう少し理解出来るだろうか?分らないままの方が面白いかもしれないけれど....w
 恐ろしい娘の周りで色んな人間が馬鹿をみて死んでゆく。それを肌で感じながら自分が娘にしたことを思い出す主人公。全ては娘の父に対する反発だったのか?それとも血は争えないと言うことなのか? たいして今まで気に留めてもいなかったのに、最後まで娘の行方に執着する父親の真意も含めて、観客一人一人がそれぞれ違う答えを出せる余地があるところも面白かったです。
 どぎついことをたがの外れた陽気さで描写しているし、主人公や娘に共感出来る部分がほとんど無いうえ、かなり性的に際どいことを描いているから相当好き嫌いは分かれると思いますが、一見ちぐはぐに思える描写の切り替えが非常に巧みで、懐かしのハードボイルドテイストのふざけたOPや、”でんぱ組”のアゲアゲな原色ソングが流れるドラッグパーティーシーンの精神波状攻撃。そして加奈子に人生を狂わされることになる少年の純真さを表すアニメーションなどが挑戦的に挿入されており、それだけでも一見の価値があるかと思います。。
 ただ最初に書いた通り、心身共に削られる内容なので、非常に疲れる映画です。娘に酷い眼に遭わされる少年の姿なんて生々しくて本当に辛かった..... しかし、それ以上に命を懸けで何かを渇望してやまない感じがあちこちから伝わって来る凄い物をみれたという興奮が僕の中では上回っていました。中島哲也さんの新作は次も是非劇場で観たいです。
  (= ワ =*).。oOでも来週は血が流れないジブリアニメ観るんだぜ♡
 ネタバレで良かったら、下のサイト様がめちゃくちゃ良い解説や原作との比較を書いてます↓
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