「Angel Beats!」「花咲くいろは」のような一筋縄で行かない青春模様を得意とする”P.A.WORKS”の、ちょっぴり懐かしくて切なくて、でもなんだかほっこりした気分になる恋愛青春アニメ『凪のあすから』は、久々にじっくり主要キャラの心模様を描いた作品だったので、観ているこちらもそうだけど、製作陣や登場人物達にとってもとても幸せな作品だったのでは無いでしょうか?
その昔、人は海で生きていたのだが少しずつ地上へ上がってゆく者が増え、地上に上がった者達は新たな価値観を見つけ母なる海を軽んじるようになり、いつのまにか海と陸の民は袂を分かっていった...
とかなんとか、海に人が普通に町を築き生活していたり、海神の代理人のような人物が不思議な術を使ったり非常にファンタジーな設定が色々とあるけれど、海の世界はある意味閉鎖的な環境の小さな村みたいな立ち位置で、現実世界での都会と田舎の温度差を海と陸の世界に置き換えた感じではあるし、基本的には少年少女の不器用で臆病な恋心がメインに描かれ、海の中からだから見れる独特な風景や、海沿いならではの独特な雲の重なりに射す太陽の描き方が綺麗だったりと、兎に角情景が素晴らしく、片思いばかりの少年少女達の純真さと厳しくも優しい自然の美しさが同調してドラマ性を非常に感じられるんです。
進化の過程において、もしも海の世界で人間が生きることを選んでいたら、こんな世界もあったかもしれない。という面白いアイディアをあえて深く掘り下げることを止め、日本以外の海の世界の話もせず主役である少年少女周りの局所的ドラマを肉付けしたことが本当に良い選択だったと思いました。
大昔に自分から諦めてしまった恋を今も引きずる迷惑な神様に翻弄される地上と海の民の軋轢の中で育まれる新たな絆を、岡田麿里さんを中心としたスタッフが懐かしの青春ドラマを彷彿とさせる脚本に仕上げてくれたことで、毎回甘酸っぱい想いがいっぱいに満たされ僕の錆び付いた純朴さまで目覚めて来るほど心地良かったです。
上手に好きと言えず想いを伝えられなかった自分の青春時代をうっかり思い出しちゃいましたね。たとえ報われ無い想いだとしても、誰かを本気で好きになれた事が無駄なはず無いって励まされました...(ノД`*゜)゜・:。.
それはそうと、こういう良い作品を放送することを尻込みする地方局って最低ですよね。全国でも7局しか放送しないとか信じられません。原作無しの新規オリジナル作品であることや、26話分枠を使うということがネックになったのかもしれませんが、充分に実績がある制作体制でありながらBSでの放送さえされないというのは寂し過ぎます....
今日5/24の深夜からアニマックスで全話放送が開始(24日は13話まで、31日に26話までになります)するので、観れて無い人やアニマックスが観れる方で興味がある方はこの際まとめて観てはいかがだろう?