宇宙と言えば、それこそ子供の頃に「いつか」は行きたい場所第1位でした。
ふわふわ浮遊する身体を楽しみながら、あれが自分の産まれた場所だと信じられないほどの絶景を堪能し、未知の世界への第一歩として月面探索をしてみたかった。
勿論、事故が沢山起きていたことも知っていました。ロケット開発の事故も本でも読んでいたし、丁度スペースシャトル”チャレンジャー号”の痛ましい事故をタイムリーでこの目に焼き付けてもいましたから...
仰々しくさえある大きな鉄の棺桶に乗り、無事に辿り着けるかどうかや、辿り着いた先で宇宙船に不具合が起きてしまわないかどうかを心配し続けてでも行く価値があるように思えていたのです。
だがもしも、この映画を子供の頃に観ていたら、そのまま宇宙への憧れを持ち続けることが出来ただろうか?
詳しいことは一切書きませんが、地球の地表から600kmを越える大気圏外に、たった一人で取り残されることになった女性の孤独な戦いの物語で、ご都合も多々あるものの、宇宙空間表現がとても緻密でリアリティであるために、本格的なSFファンとそうでない観客とが共存出来る、見事に調和が取れた作品でありました。
冒頭の入り方から、最後の詩的でさえある感動のシーンまで、人間の感性を狡猾にコントロールするような、音の使い方やカメラアングルの切り替え方まで、全ての演出が周到過ぎて、「すげぇ!」としか言えないほどの高揚感があり、昨夜はしばらく眠れないくらいでした。心臓が悪い方はご遠慮下さいと事前にお断りするような煽り広告をするホラー作品を見るより、よほど本作は恐ろしい........
彼女の戦いを擬似的に味わうことになるため、最後の最後まで息苦しいゼロ・グラビティ。しかし全てはエピローグでの解放感に繋げるための布石であり、実に生を実感出来るヒューマンドラマであったと言えるでしょう。本物の宇宙飛行士に見えた主演のサンドラ・ブロックの熱演も実に印象的で、絵的に見惚れる場面も数多くあり、リアリティのある宇宙空間を構成する重要なパーツでもありました。ほぼ全編宇宙空間でのストーリー進行ですから、宇宙服姿の彼女は顔しか見えない場面が多いわけですが、サンドラの瞳で語れる演技力は凄まじいの一言。彼女のキャリアの中でも1番の作品になったに違いない。 彼女をサポートする重要なキャラとして、”ジョージ・クルーニー”が美味しい役をやっているのも、彼女の物語をより一層際立たせていて素晴らしかった。とにかく両役者の熱演にも要注目です。
※サンドラがすげぇ!と思ったシーンのネタバレ感想を少し(反転すると見れます)
命辛々ISSに逃げ込んだサンドラ・ブロック演じる”ライアン・ストーン”が、エアロックで宇宙服を脱いで安堵するように身体を丸めるシーンは釘付けになりましたし、地上へ帰還したライアンが、まるで海から進化して陸上へ上がろうとしている水生動物のように描かれているラストシーンの美しさも本当に素晴らしかったです。
大地にその身を晒し生を実感したライアンの姿を目の当たりにし、宇宙を我が物顔で荒らし始めた人類への警鐘の意味合いも本作にはあるのだろうなと、なんだか感慨深い気持ちにもなれましたよ(´┓`*)シミジミ
緊迫感がほぼ途切れること無く続くせいか、90分あるはずの作品が45分程度に感じるほど夢中になれる本作。監督であるアルフォンソ・キュアロン監督が3Dを前提に撮影したと明言しているので、3D作品の魅力を最大限引き出せるIMAX環境で鑑賞出来る方は是非3Dで観るのが良いかと思います。
僕は残念ながら地元にIMAX環境が無かったのと、通常の3D作品が吹き替え版しか無かったこと、そして時間帯が合わなかったと言う理由で、2D版を観たわけですが、それでも洋画の中では今年一番の作品に思えましたし、どんな人にも胸を張ってお勧め出来る映画は久し振りだとさえ感じました。
だからIMAXでゼロ・グラビティを観たらもっともっと「すげぇ!!」と感じるであろうと断言出来ます。
恐ろしくも幻想的な驚異の無重力体験があなたを待っていますよd(。ゝ(ェ)・)
でも俺、やっぱ地球が1番だな♡ (= ワ =*)←旅行から帰って、自宅を満喫するおっさん的な
追伸、IMAXではない3Dの吹き替え版も観て来ました。
カメラアングルが主人公視点になる事が多いため、予想通り非情に3Dの効果を感じる場面が多かったです。ただIMAXでは無いので観辛い部分もあるし、レイトなら1200円で観れるところを、地元の旭川ではあえてレイトやモーニングの時間とズラした上映スタイルにしていたので、2200円もかかるのは少し割高感がありました。
しかも吹き替えだと、ジョージ・クルーニーの声が”小山力也”さんなので、自然と笑えて来るのが玉に瑕....3Dだと字幕観辛いから吹き替えなんでしょうかね?僕は断然字幕がの方が夢中になれました。