書店の平置きで「『進撃の巨人』”諫山創” 激プッシュ!!!!」と書かれた帯付きコミックを見つけ、裏表紙に書かれたあらすじを読んでついついレジへ持参してしまった本作品、お世辞にも絵が上手いとは言えないが、気持ちが前面に出ててもの凄い勢いで押し切っているのが凄った。
主人公”甲野じゅん”は、”長谷部りの”と言う女の子に全力で恋をするのだが、両想いになった途端、彼女は目の前からスッと消えてしまう。しかも雲隠れするというレベルではなく、主人公以外の誰の記憶にも”長谷部りの”の名前が残らない完全なる消滅なのだ。
そんな不可解な別れを受け入れられない主人公は、勿論彼女をことを忘れられるわけもなく、モヤモヤした日常を過ごしていたのだが、突然彼の前に”長谷部りの”が現れる。”甲野じゅん”をまったく知らない新しい”長谷部りの”として....
毎回消えてしまい自分を憶えていないという絶望的な状況に戸惑いはあっても、彼女にまた出会えたことを喜び「何度も恋をさせてもらえて幸せ者だ」と本気で口にする彼が、何度となく目に見えない力に「ちょっと意地悪してやろうぜぇ〜あいつ反応おもしれぇから〜↑」的なタチの悪さで恋の邪魔をされるたび、彼女への想いをより強めて深い思いやりに目覚めてゆくのが妬けるほどに青春していてとても面白いです。
構成的には駆け足状態で色々とすっ飛ばして進行してゆくから読み難い部分もあるけれど、作品の無茶苦茶具合に読み手がツッコミを入れる暇を与えないほどのスピード感なのがまた心地よく響いて来ます。
流石に1巻の終盤に近づくと、テンポが落ち着いて来るけれど、序盤のスピードは半端ではなく、気持ちが先走ってペンが追いつかないくらいの印象を受けました。成就しない恋を延々と続ける暑苦しい主人公の青春模様そのものです作風が。
作者のこの激しい熱意が、主人公の熱い恋心共々、何処まで持続出来るのか非情に気になるところ。
両想いになると愛しい彼女は消えてしまうというジレンマのループから、彼等が脱却出来る日が来るのか次巻が楽しみだゞ(*ゝω・)ノ
1話試し読み→ http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000006408
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