無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん、はてなブログに引越し中です。

ちよこれいとだいすき( ゚ρ。 )「その男、甘党につき」/えすとえむ/太田出版/2013年/漫画/感想

 なんていうか、夢中になれる事をしてる時ってみんな輝いてるよね。

 思い切りトラックを胸が爆発するくらい疾走してる人

 手作りのオモチャを無言で組み立てている人

 大好きな人の横顔をただただ眺めてる人

 兎に角、夢中になって何かをしてる人はとても純粋で綺麗に見えます。

 

 で、この漫画の主人公が夢中になっているのが”ショコラ”

 どれくらい無中かと言うと、それこそ毎日のように馴染みの店に通い詰めて、お店の人が若干引くくらいの量を毎度平らげ、味の細かな変化からパティシエの精神状況まで読み取ってしまうほどご執心なのだ。

 そんな鋭い分析力を活かし、彼は毎回悩みを抱えた誰かと絡みます(卑猥な意味では無い♡)

 頭領に自作のショコラを一味足りないと言われた女パティシエや、夫婦喧嘩でショコラの味を落としている頭領。プライドが邪魔をして幸が薄い美女等々、様々な相手を甘味によっていつのまにか正しい方向へ導いてしまうのだ。

 しかも出来過ぎ(甘い物が大好きなのに素晴らしいプロポーションを維持してるうえ職業は弁護士だったりもする)くんのクセに、好きな甘い物を食べればちゃんと虫歯になって治療にも行くし、すっかりツンデレお婆ちゃんと化した母親を甘やかす為にお見舞いに行ったりもする。それら甘味男を掘り下げるエピソードの数々には、思わず目尻が下がってしまった♡(萌´▽`)

 甘味好きな渋いオッサンって言うと、「西洋菓子骨董店」の”芥川”さんを思い出すんですが、あの人みたいにだらし無い顔(美味しい物を食べた時)には成らず、とても品があるエロい感じに仕立てられてるのも”えすとえむ”さんらしくて上手いです。口元をショコラで汚しても気に留めないマヌケさが、逆に色気に思えるのってパリが舞台の作品ならではだなって思いました。

 絵の感じが「ゴロンドリーナ」よりザックリしてて、自由で活き活きしてる感じなのも味が在ります。やはり自分の趣味全開の作品は気持ちが籠るんでしょうね。もう少し読んでいたくなる心地良さでした♪

 甘くてほろ苦いショコラを頬張りつつ、周囲への気配りを忘れない甘党紳士。

 彼の名は”ジャン=ルイ”と言う。

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 WEBマガジン”ぽこぽこ” http://www.poco2.jp/comic/sweet/

 

 『コミックナタリー - [Power Push] えすとえむ×オノ・ナツメ酩酊お絵描き対談、飲んだ喋った描いた4時間半』

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