小説
僕は毎週土曜日に24時間開いているTSUTAYAに寄り、その週に発売された新刊をチェックします。 書店が売る気満々な平置きから、申し訳程度の背表紙まで、ざっと吟味してゆくわけですが、結局タイトルと表紙の雰囲気で買う本を決めてしまいがちで、今日読み…
『“「死神」と呼ばれる殺し屋のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される”。特ダネを追うライター・陣内は、ある組長の死が、実は死神によるものだと聞く。事故として処理された彼の死を追ううちに、陣内は破天荒な天才投資家・本宮や、…
『恋愛』 この二文字って、『恋』なのか『愛』なのか酷く曖昧な気がしませんか? 元々同じような意味合いだし、それぞれが描くイメージだけでなんとなく役割が決まっているだけな気がします。 恋は特定の人だけを、愛は万人に向け、男である僕の中ではこんな…
いきなりですが、日本でどれだけの人が年間に自殺してゆくかご存知だろうか? 警視庁が発表しているデータだけでも、平成10年以降は毎年3万人以上の人が自ら命を断っており、世界でも第5位に入る数字で中でも無職の自殺数がダントツに多い。ただ無職と言…
綺麗で可愛い表紙とタイトルから、ほんわかしたファンタジー作品かと思いきや、読み始めるとケルト民話を元にしているだけあって、なかなかに骨太な世界感で切ない物語が展開され楽しめました。 『叶わぬ』『赦されぬ』『儚い』 のような恋物語が好きな人に…
あまりに久し振りの新刊だったので、すっかり登場人物の性格まで忘れていたのですが、作品世界でも同様に時が流れていたため空白の時間を説明する場面が多く、おかげで少しづつ想い出す事が出来ました。 "G"と呼ばれる同シリーズ。"S&M"・”V”のレギュラーキ…
前に書きましたが、基本読書の時間はお昼休みと決めている僕。 だからと言うわけでも無いけれど、”応化クロニクル”で大好きになった亡き”打海文三”さんの他作品をまるで読んでいなかった。 応化クロニクルの「裸者と裸者」にハマって直ぐに他の作品群も買い…
小説家って職業の人達は、兎に角言葉遊びが大好き♡ いくらファンが増え、本が売れ、自分のスタイルが確立されたとしても、新しい文字の可能性を追わずには居られない生き物が物書きなのです。 そして、今回読ませてもらった”恩田 陸”さんの『六月の夜と昼の…
待ちに待ち過ぎた「十二国記」の新作の発刊も決まり、9年振りの書き下ろしを2冊同時に出した事も記憶に新しい”小野不由美”さん。 今回はその書き下ろしの中から、実際に小野不由美さんが体験した出来事をドキュメンタリー風に語った『残穢』の方を読んでみ…
人が知覚出来る領域を越えた世界まで踏み込み、壮大で果てしない宇宙を驚異のスピードで構築し続ける”小川一水”さん。 若干ライトな読者へ向けたSF作品とはいえ、バリバリのSFファンを唸らせる世界観のディティールは細かく、人類やその他多くの生命体に及ぶ…
スターリン時代のソ連で幼い子供が行方不明になる連続事件が発生し、とある事情で左遷されてしまった国家保安庁の職員で主人公の”レオ・デミドフ”が、その事件を担当する事になり、殺人事件の存在を認めていない政府と、連続殺人鬼の両方を相手にする羽目に…
ここ数年ライトノベルを読む機会が減ったのですが、某雑誌の紹介記事を見て、あまりにキャッチーなタイトルと内容だった為に、思わず買ってしまったのが本書でした。 死なないはずの生徒が殺されてしまう?! そんな身も蓋もない矛盾した内容で、ちゃんと物…
「もしも、簡単な血液検査で人々の死を予言する機械があったらどうなる?」 と、言う発想から産まれ、多くの「もしも」を人々から公募し一冊にまとめたのが本書。 自分がどのように死ぬかを知った人々の反応は、一様に泣き喚いたり、怒鳴ったり、笑ったり...…
今までにも何度となく読者の期待を裏切る事で期待に答えて来た森博嗣先生ですが、今回のは一際読み手に挑戦的な空間を構築して来ましたねw 店頭で初めてこの本を見た時と、読み終えた今とでは、派手な表紙から受ける印象もまるで変わるほどの裏切り方なので…
異なる出版社から発売された『ヘルマフロディテの体温』と対を成す”小島てるみ”さんのデビュー作『最後のプルチネッラ』 物語の舞台となる土地がナポリである事や、両作共に登場する人物がいるので、世界設定としては同じであると考えて良い作品です。メイン…
人間に限らず、多くの生き物が『性別』を持って産まれて来る。「男」、もしくは「女」として。 しかし、どうして性別が分かれてしまうのか?一度くらいそんな風に疑問に感じた事は無いだろうか... 月並みに「生存本能」の結果だと答えられても、はいそうです…
SFの醍醐味をこれでもかと言わんばかりにエンターテイメントとして昇華し、宇宙のように膨張を続けて来た『天冥の標』 それがとうとう収束する時が来たようです。 それぞれに歴史を重ねて来た主役達の血脈。彼等が誰の手のひらで踊って来たのかは、ほぼ見え…
正式にスカイクロラのような叙情詩的シリーズとして、今後も続く事がほぼ決まった『ヴォイドシェイパ』の続編『ブラッド・スクーパ』を読み終わった。 今回もただただ眼を奪われる装丁と、無駄を削ぎ落した語感がたまらなく美しい作品だった思います。シリー…
この本を読んでいる相田、いや間ずっと思っていたんですけど、これは森先生の経験談で自らの望む将来像ですよね?何処までが真実で、何処からが脚色なのか分りませんが、実際にお父さんは建築設計を行う工務店をやっていたそうですから、かなり実話をベース…
ここのところ、アニメ「UN-GO」の影響で原作の『明治開化 安吾捕物』を青空文庫を読めるアプリ”i文庫”で楽しんでいます。 相当昔の作品なので、”夢野久作”さんの「ドグラ・マグラ」みたいに、読むのが大変な文体なんじゃないかと気になって不安でしたが、非…
とうとう最新刊まで追いつきました。今回のテーマは農業。 毎度新しいテーマで展開する天冥の標。これだけ沢山の題材を盛り込むにはどれだけの情報収集が必要なのか、考えるだけで気が遠くなりそうですw 小川さんがそこらへんの作家と違うのは、所詮SF小説な…
いやぁ、今回の天冥の標には参りましたw官能小説も真っ青な エロ!エロ!!エロ!!! の連続なんですもんw しかもそれが濃厚過ぎて、毎日読書してるお昼時間にモヤモヤして仕方無かったです(;´Д`)ハァ.... 作者の小川さんが、あらゆる要素を盛り込んで好き…
こつこつお昼休みに読んでいた「天冥の標」も、気付けば4冊目、シリーズ三つ目の「天冥の標Ⅲ アウレーリア一統」まで読み終わりました。 毎度違った要素を入れてくれる小川さん。今回は、これぞ娯楽SFと言える宇宙戦艦ものでした。 宇宙に蔓延る海賊を狩る…
壮大な広がりを期待せずにいられない国産SFシリーズ 「天冥の標」 その三冊目「天冥の標 Ⅱ 救世群」を読み終わりました。 架空の植民星を舞台にした上下巻の前作「メニー・メニー・シープ」から一転、現代に近い時代の地球へ舞台を移し、前作でも語られた恐…
やっとこ下巻を読み終わりました。最高にSF熱が高まる展開に大満足! 作者である小川さんが、あとがきでも書かれていましたが、とにかく出せる要素は全て出した、旨味の凝縮度200%な作品だと言い切って良い本だったと思います。登場人物達の個性も克明に描か…
一週間前に病院へ行った時、読み始めたこの作品、非常に気に入りました。 出版元は”早川書房”ですから、バリバリのSFなんじゃないかと、皆さん敬遠するかもしれませんが、この作品は”ハヤカワ文庫”の中でも、日本人作家の著作で、ライトノベル寄りの作品ばか…
「すべてがFになる」「スカイクロラ」などで有名な”森博嗣”さんが昨日で54歳になられました。一時期の発刊スピードに比べると、作家としての活動は落ちついて来たようですが、新たな森ワールドを感じさせる新シリーズ「ヴォイド・シェイパ」を執筆するなど…
とうとう本当に読み終わってしまった。 長いようで短かったアースシーの物語。振り返ると、沢山の出来事がありました..... ”ハイタカ”が呼び出した恐れと言う名の影との戦いも 闇の神殿に心を囚われた少女”テナー”の葛藤も 若き王子”レバンネン”と、ハイタカ…
とうとうゲド戦記の本編を読み終わってしまいました。作者も高齢ですし、終わり方もゲド最後の物語である事を物語っていましたから、これが本当の最終巻になる事でしょう。 今更物語の完成度に関してコメントするまでもなく、充分に読み応えがある5巻目でし…
ゲド戦記4巻「帰還」では、「こわれた腕環」に引き続き、”テナー”が主人公です。彼女はあの無力で幼い頃とは違い、保護者であったオジオンからも離れ、自分で生き方を決めて生活し、名前も”ゴハ”と名乗っていました。 普通に男と結婚し、子供を産み、生活す…