壮大な広がりを期待せずにいられない国産SFシリーズ 「天冥の標」
その三冊目「天冥の標 Ⅱ 救世群」を読み終わりました。
架空の植民星を舞台にした上下巻の前作「メニー・メニー・シープ」から一転、現代に近い時代の地球へ舞台を移し、前作でも語られた恐ろしいウイルスの始まりと混乱が描かれていました。
本格医療ドラマとも思えるほどに、克明に描かれる疫病への対応や世間の反応。ぜんぜんSFらしい派手な飛び道具を使わずに、未知のウイルスの神秘性だけで非常に上手く物語りが展開してゆくのには脱帽でしたw
そして未知のウイルスに翻弄される者達と、遥か未来の物語であるメニー・メニー・シープとの共通のキーワードの存在が、過去と未来に生きる者達との関連性を感じさせ、今後どのように明かされてゆくのかが気になる展開は素晴らしいです。
ぐいぐい引き込まれた冒頭も含めて、流石の文章構成♪今回も美味しく人間模様を味わえました(*´¬`)ゴチソウサマ
ただ同じように淡々と物語を進めるのでは無く、文章表現を変化させて読者を上手に誘導してくれるので、本当に飽きが来なかった。なんて凄腕詐欺師なんでしょう小川一水さん....勿論褒め言葉w
同じ騙されるなら、ワクワクするような素敵な嘘が欲しい。この先物語が、どう紡がれてゆくのか気になって仕方無い僕は、もう貴方の嘘に虜ですよ.....|∀-)オガワサン
小川一水WEB http://issui.sakura.ne.jp/hp/index.htm