無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

小説

ゲド戦記 旅情編「お気楽大賢人と気苦労な王子」『ゲド戦記 さいはての島/アーシュラ・K・ル=グウィン/岩波書店/1972年』

とうとうアニメ版に出ていた”アレン”君が登場しました。この「さいはての島」では、ゲド達の住む世界で、少しづつ広がってゆく異変を調べる為に、ゲドはアレン君をお供にして、あての無い旅を続ける事になります。 行く先々で人々の変わり様を目にし、肌で感…

喰らわれし少女の憂鬱。「ゲド戦記 こわれた腕環/アーシュラ・K・ル=グウィン/1976年/岩波書店/小説/感想/レビュー」

ゲド戦記の二巻目、”こわれた腕環”読了。今回の主役はゲドではなく、暗黒の地下迷宮を護る巫女。運悪く、先代の巫女の死んだ日の夜に産まれたせいで巫女に選ばれてしまった少女が主役です。 彼女を家族から半ば強引に引き離し、巫女にするため連れて来た者達…

る=ぐうぃんゲドを読んで見た。「ゲド戦記 影との戦い/アーシュラ・K・ル=グウィン/清水真砂子/岩波書店/1968年/2006年/小説/感想/レビュー」

原作ファンどころか、ジブリファンにも不評だったアニメ版「ゲド戦記」 あまりに残念な内容から、原作の良さを疑う人も多かったのでは無いでしょうか?表面的な印象(タイトルや表紙)からして、派手さの無い作品ですし、”ゲド”と言う呼び名も、”外道”と言う…

岩里祐穂さん唯一の恋愛小説.....「恋の記録/岩里祐穂/マガジンハウス/1996年/小説/感想/レビュー」

僕の中で勝手に菅野よう子ファミリーに区分している”岩里祐穂”さん。元々はシンガーソングライターとしてデビューしたそうですが、今はアニメのテーマ曲を中心に作詞活動をされています。 そんな岩里祐穂さん。実は小説を書いた事がありました。その名も『恋…

時代劇だよ森博嗣に集合〜♪「ヴォイド・シェイパ/森博嗣/中央公論新社/2011年/小説/感想/レビュー」

まさか森作品で時代劇物を見れるとは思って無かったwまったく予備知識を入れず読み始めたので尚更驚いた。しかし、主人公と共にプロローグを通り過ぎた時には、そんな驚きは消え、自然と刀と侍が活きていた時代へ入り込んでいた。 どの森作品にも流れる、潔…

裏返す人々...「エンドゲーム-常野物語-/恩田 陸/集英社文庫/小説/感想」

『あれ』と呼んでいる存在と闘い続けて来た拝島時子とその家族。『裏返さ』なければ、『裏返され』てしまうと信じる彼女は、『あれ』との遭遇に怯え日々を過ごして来た。しかし、”一族”の中でも最強と歌われた父親は失踪し、長らく2人で過ごしてきた母親も…

常野の物語は、僕らが”しまう” 「蒲公英草紙 常野物語/恩田 陸/集英社/2005年/小説/感想」

常人とはかけ離れた能力を持つがゆえに苦しみを抱えた者達がいた。 人の記憶や感情を”しまう”事が出来る者。 謎の存在に”裏返されない”ように戦い続ける者。 どんなに遠くの事でも見聞きする事が出来る者。 とてつもない時間を生き続ける者。 人は彼等を”常…

「覇者と覇者/打海文三/角川書店/2008年/小説/感想」

久しぶりの連休が終る日曜の午後、僕は久方振りにゲームもテレビもパソコンも触れず本を読んでいた。しかし、その本は未完で最後まで描かれてはいない。 それが分っていても、読まずにはいられない作品でした.... 舞台は内乱が続く現在より少しだけ未来の日…

小説は想像力を養う優れた媒体。

なんかこう、エネルギーが湧かないですね、最近..... 暑さのせい? 仕事のせい? 気づけばただ一週間を無為に過ごしている.... いつものように海外ドラマを見たりゲームをしたりするものの、気持ちが完全に何処かへ行っている。もう飽きたのかな、海外ドラマ…

あればあったで悩むのが超能力...「光の帝国/恩田 陸/集英社文庫/2000年/小説」

古本屋でチラチラ見かけてはいた恩田 陸さんの本。何度か目にしているうちに気になって買ったものの、いつものようにしまい込んでいました... その後、フォロワーさんの中に恩田 陸さんが好きな人がいたのが後押しになり、今回こうして読んでわけですが、読…

恋愛ものとか読むんじゃなかった♡「九つの、物語/橋本 紡/集英社文庫/2011年/小説」

三人姉弟の環境で育った僕の家は裕福ではない。あえて言うなら日本の平均水準よりだいぶ下だと思う。だから、自分で意識していないだけで恵まれた環境におかれている主人公の女の子とは明らかに立ち位置が違い、彼女のような生活を目にするとどうしてもコン…

謎が残るほど記憶にも残るのでは?「ブードゥー・チャイルド/歌野晶午/角川書店/1998年/2001年/小説」

幼い頃から前世の記憶があると信じている15歳の少年。彼は前世で恐ろしい化物にお腹をえぐられ死んだのだと言う。 そんな怖い記憶も、あくまで前世のはずだったのに、ある事件をきっかけに現世との繋がりを見せ始める!それは、彼にとっても家族にとっても…

生きる事を難しくしているのは誰?「告白/町田康/中央公論社/2005年/小説」

久々に凄い物を見た!これが素直な気持ち。鋭い洞察力と圧倒的な文章力を兼ね備えた者で無ければ書けない作品と言えます。 以前に、フォロワーさんの「告白」を読んだと言うつぶやきに対して、”湊かなえ”さんの「告白」と勘違いして反応してしまった事から知…

謎解きしない迷探偵誕生?「祝もものき事務所/茅田砂胡/中央公論新社/2010年/小説」

ホントはデルフィニア戦記の続編を買って読もうお思ったんですけど、茅田さんの新作が完全新作でしかも探偵物ぽかったので思わず読んでしまいまつたww 探偵って言うと大抵犯人を割り出す為に、あらゆる調査をしその結果に推測を加え事件の真相を導き出すのが…

ベタって絶対褒め言葉♪「デルフィニア戦記#1/茅田 砂胡/中央文庫/1993年・2003年/小説」

追っ手に追われる傭兵風情の男。10人もの追っ手に囲まれ絶対絶命の彼を救ったのは、一人の少年だった。見た目からは思いもよらない少年の”力”に圧倒される男。いったい少年の正体とは?そして男が命を狙われていた理由とは... ハッキリ言ってベタな作品で…

生まれ変わった名作を前に出るのは、ため息ばかりなり...良い意味でね♡「トーマの心臓/森博嗣/萩尾望都/メディアファクトリー/2010年/小説」

「トーマの心臓」それは今更説明するまでも無く”萩尾望都”さんの傑作漫画で、一人の少年が、自らの命をもって一人の人間を哀しみから解放した物語。少年達の綺麗な感情が溢れ、流れ、そして消えて...僕らに大事な何かを残してくれる至宝の作品。 そのトーマ…

子供の僕には別世界。「ノルウェイの森/村上春樹/講談社/1987年」

※古本屋で買ったため表紙が揃ってなくて不満.... これが初めて読む”村上春樹”作品。僕は、大作売れ筋であり、誰でも読む本はあえて読まないようにする傾向があります。しかし、今回は映画版「ノルウェイの森」への興味から、まずは原作から入ってみようと読…

伊藤計劃と言う男の残したモノ「虐殺器官/伊藤計劃/早川書房/2007年」

徹底した管理社会になった先進国で、感情や痛覚さえコントロールされた兵士達がいる。彼等は自らの身体がズタズタにされても任務を遂行し続ける事を求められているのだ。そんな彼等に一つの暗殺指令が下される。 ターゲットは、先進国の管理も届かない後進国…

博士へのススメ「喜嶋先生の静かな世界/森博嗣」

主人公が過去を振り返り語るテイストのこの本、読み始めて直ぐ、これは森先生ご自身の事では無いのかと、思ってしまいました。森先生にとっての喜嶋先生が居て、それによって影響を多く受け助教授にまでなったのでは無いかと.... それほど、いつもの森作品以…

不器用な僕達は、知らず知らずのうちに”人”を傷つけて生きている....「悪人」/吉田修一/小説

僕らは、毎日のようにテレビやネットの情報を見聞きして生活している。しかし、その情報の確かさには限界がある。どれだけ信用出来そうなソースであっても、誰かの主観が入ってしまうからだ。それによって更に情報は伝達される時にどんどん姿を変えてしまう.…

不良神父は悪魔がお好き〜♡「神父と悪魔 カープト・レーギスの吸血鬼/志麻友紀/B`s-LOG文庫」

素行不良だが、凄腕のエクソシストな主人公”ヴェドリック・ヴェスター” その素行の悪さが災いし、微妙に田舎な町の教会に左遷されてしまう。ヴェドリックはそこで、おかしな悪魔に出会う.... 志麻さんのファンに怒られそうですが、正直内容はどうでも良かっ…

大変だったけど、良い本だったぁ〜♪「星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン/創元SF文庫/東京創元社/1980年」

なんかさぁ...SFってロマンだねww果てしない夢過ぎてカッコイイわけだよ〜♪まあ、サイエンスの部分は、半分も理解してないけどwww ジェイムズ・P・ホーガンさんが亡くなってから二ヶ月ほど経過しました。彼が死んだ事がtwitterで流れた事で興味を持ち、今回…

僕はこの事について書く資格を持っていない。「ヘヴン/川上未映子/小説」

イジメ。いつまでも無くならない、人間社会の暗部の一つ。何かのウイルスのように、次から次へと対象を変え、イジメられていた者が、いじめる側になる事も少なく無い... そんなイジメの本質が何処にあるのか?数ある原因から、何故その人が選ばれ、何故虐げ…

本当に怖いのは、殺人犯でもHIVでもなく、母の愛だった...「告白/湊かなえ」

「告白」とは、 ”秘密にしていたことや心の中で思っていたことを、ありのまま打ち明けること。また、その言葉。” とある女性教師の「告白」で幕を開ける物語。感情が死んでしまったかの様な、淡々としたその告白を聴き終わった後、僕は彼女への同情と畏怖を…

僕らの世界の、打ち切りの日が決まったとしたら...「終末のフール/伊坂幸太郎」

僕らは、この地球上で流れた時間の、ほんの一瞬の出来事しか知らない。どれだけ過去を推測し、記録しようが、情報は風化し、変化して、過去は未来へ語られてしまうものです。 そんな不変では無い”過去”に、隕石の衝突により訪れた氷河期によって恐竜は滅んだ…

痛すぎる”美”へ道。「コーリング 闇からの声」/柳原 慧/宝島社文庫/2007年/小説/感想

女性A「私、自分の鼻のラインが嫌いなのぉ。もう少し高ければ顔のバランスが取れるんだけど~。」女性B「若いくせに何いってるの!私なんて笑うたびに笑われてるわよ!!」女性C「私だって!......」こんな不毛な会話聞きたく無い(;´д` ) トホホ.... い…

短編の料理人、伊坂幸太郎「チルドレン 伊坂幸太郎」

「俺がルールだっ!って人は星の数ほどいるけれど、そのルールが人に役立つ事ってあるの?」........あ~るんです!この男に限ってわねww いつも自分の都合でワガママ放題に行動し、訳の分からない理屈をコネ繰り返して、他人を自分のペースに巻き込む事を趣…

こんな世界なら戦争は起きそうに無いね。「ZOKU 森博嗣」

暴走?太陽?まさか...薔薇? いいえ、ただの"ZOKU"です。上の表紙にもある、”何がしたいわけ?”この一言でこの本は説明出来ちゃうねww そんなんじゃ解らんぞ!?と言う方の為に、もうちょっと詳しく書くと、毎回犯罪ギリギリのいたずらを仕掛ける組織"ZOKU"…

時には紅く染まらないミステリーを「先生と僕/坂木司/双葉社/2007年/小説」

ミステリー小説と言えば無くてはならないものが殺人事件。誰もが眼に見えぬ殺人鬼に恐怖し、そのスリルを楽しみ謎解きをする。これが一般的なミステリーだと思います。 ホームズだろが、ポアロだろうが、金田一だろうが、その手は紅く染められ、幾人が三途の…