まさか森作品で時代劇物を見れるとは思って無かったwまったく予備知識を入れず読み始めたので尚更驚いた。しかし、主人公と共にプロローグを通り過ぎた時には、そんな驚きは消え、自然と刀と侍が活きていた時代へ入り込んでいた。
どの森作品にも流れる、潔いほどの割り切った考え方が、”剣”の道にも通じるものがあり、違和感なく楽しめました。時代劇に森先生の語りは凄くマッチしてますね♪しかし何故時代劇だったのか?
作中に、主人公の師が主人公に語ったこんなセリフがあるのですが、
「似ていることを嫌い、慣れ親しんだものを捨てなければ、自分に囚われる。そうではない新しい自分を常に求めるのだ」
….まさに森先生が今作を作った理由とも言える言葉ですよねw沢山の本を書くうちに、慣れでお話を書いてしまっている自分自身を戒める意味でも、剣の道を突き詰める主人公が必要だったのでしょう。自分に厳しい先生の言葉は心に刺さります…orz
さて、この新シリーズ、装丁がスカイクロラシリーズを手掛けた鈴木成一さんなので、とても美しい….森先生の中でも、このシリーズはスカイクロラに近いものになると考えているのでしょうね。実際詩的な表現が多く、抽象的な場面が多いのもスカイクロラに近いです。
ただし、人の生き死にが多々描かれているのにあまり陰湿に感じず、読後の重さはスカイクロラより軽く、前向きなストーリーでした。まだ、前だけを見ている主人公だからこう感じるのもかもしれませんね。今後主人公がどう変化してゆくのか、非常に次巻が気になります♪
今作を森博嗣先生の最高傑作と感じる人がいるのも納得の内容でした。いずれ本を書く事を辞めてしまう可能性がある森先生.....「ヴォイド・シェイパ」みたいにまだ未開の土地があるんじゃないですかね....まだまだやめないでね..._/乙(、ン、)_