ジャケ買いしちゃう僕こそ消えたい...サラ(・(エ:.;:…「世界から猫が消えたなら」/川村元気/マガジンハウス/2012年/小説/感想
僕は毎週土曜日に24時間開いているTSUTAYAに寄り、その週に発売された新刊をチェックします。
書店が売る気満々な平置きから、申し訳程度の背表紙まで、ざっと吟味してゆくわけですが、結局タイトルと表紙の雰囲気で買う本を決めてしまいがちで、今日読み終わった今作も題名のキャッチーさと表紙の愛らしさだけで良く内容も知らずに購入してしまいました。
『風邪かと思って病院に行ったら脳腫瘍の告知を受け、余命幾許も無いと言われてしまった男の前に自分そっくりのアロハを着た悪魔が現れ、世界から一つ”何か”を無くすごとに寿命を1日延ばしてあげようともちかけられるのだが....』
↑こういう切り口は個人的には嫌いではありません。子供の頃良く観ていた、人生を気まぐれに弄ぶストーリーテリングが面白かった「世にも奇妙な物語」などを想い出しますから。
だから「もしも◯◯が無かったら?」をどう膨らませて盛り上げてゆくのかと期待して読み進めたのですが、あるべき物が無くなり変わってゆく世界はそっちのけで、『自分』や『人間』の本質にばかり終始し、表題を見て僕ら読者が期待した『もしも』の部分を上手く表現出来ていませんでした。
しかも哀しいかな文章力は一般人並みで、言葉の配置がめちゃくちゃなうえ行間での溜めもほとんど無く、都会で一人暮らしの男がホームシックになった程度の悲哀しか伝わって来ないのです。
これが同人誌であったり、ドラマ等の企画段階での本ならば充分な出来だと思います。しかしこれは1冊の物語として世に出してお金を貰う作品なのですから、今が旬の映画プロデューサーを話題性だけで出版するのは如何なものか...
ド素人がガヤガヤ言うものでも無いですが、まったく準備も出来ていない人を土俵にあげて金儲けを企む出版業界って嫌ですね。 あ、水嶋ヒロの『KAGEROU』想い出した..........
クソミソに書いて来ましたが、猫への想いや父親との難しい関係などは河村さん本人の素直な気持ち反映しているのか意外としっくり来ましたし、作者のやる気と映画愛は大いに伝わって来る部分もありました。
あとは気持ち以外のところを伸ばして頑張って下さい....ω・`)