綺麗で可愛い表紙とタイトルから、ほんわかしたファンタジー作品かと思いきや、読み始めるとケルト民話を元にしているだけあって、なかなかに骨太な世界感で切ない物語が展開され楽しめました。
『叶わぬ』『赦されぬ』『儚い』
のような恋物語が好きな人にはたまらない作品ですね♪
かつて妖精の女王に愛された楽人(バルド)と同じ名を持つオシアン。彼は万物の源である楽の音、すなわち「音楽」を自在に奏で操り、人々の平穏を脅かす妖や霊達を正しく場所へ送る為、その力を行使する「祓いの楽人」と呼ばれる者。
西に旅人を襲う幽鬼が居ればこれを祓い。東に自分を見失った色魔の妖精が居ればこれも祓う。
しかし、ただのゴーストバスターズとは違い、単純に祓うのではなく「何故」そうなったのかを調べ感じ取り、本人が納得出来るまで音楽で根気よくなだめるのが「祓いの楽人」なのだ。
祓いのバルドに紐解かれる死んだ者達の物悲しい過去は、どれもじんわり切なく後を引きます。ただ、祓うだけがバルドの仕事では無さそうなのに、祓う物語ばかりが展開したり、その祓う物語も少し色恋沙汰が多かった気がしてちょっぴり残念。せっかく本格的な設定を持った世界感ですし、展開の型にハマらないバルドの物語も読みたかったです。
それにオシアンは喋らない設定なのですが、過去に何があったのかも語られていないし、オシアンの代わりにベラベラ喋る相棒”ブラン”との出逢いも読みたい。
あとがきに続きを書きたいと光原さん書いてらっしゃいましたし、このあたりは次に期待したいな(*^□^*♪)