無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん、はてなブログに引越し中です。

この先10年後、もう一度見たいと思える光景こそ今見たい<2022冬アニメ感想>

バレンタインデーを明日に控え、深々と降り続ける雪に時折目をやりながらアイスを頬張り、アニメを眺めていた。
 
今季も馬鹿みたいに異世界物が立ち並び、その出来栄えは可もなく不可もなしと云ったところで、正直、見ても見なくても自分の人生に益があるとは到底思えなかった。
 
そんな状況にある冬アニメの中でも、これだけは見て欲しいと思える作品がいくつかあったことだけは幸福である。
 
  • 明日ちゃんのセーラー服
  • ヴァニタスの手記(第2クール)
  • 錆喰いビスコ
  • 時光代理人 -LINK CLICK-
  • 進撃の巨人 The Final Season Part 2
  • その着せ替え人形は恋をする
  • 天才王子の赤字国家再生術
  • 東京24区
  • トライブナイン
  • ハコヅメ~交番女子の逆襲~
  • 薔薇王の葬列
  • プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2
  • 平家物語
  • リーマンズクラブ
 
 
上記でざっくり最後まで見そうな作品をリストアップした中から、これぞと思えたのは「明日ちゃんのセーラー服」「その着せ替え人形は恋をする」「薔薇王の葬列」「平家物語」「時光代理人 -LINK CLICK-」
 
”明日ちゃん”は兎に角、女の子の見た目だけでなく、仕草や内面まで細やかに描く仕事っぷりが酷く眩しく愛おしい。そして、同じく”服”に対する思い入れが爆発している”着せ恋”に関しては、王道のギャップ恋愛を雛人形とコスプレで彩る作品力にきゅんきゅんさせられた。これらを同じタイミングで世に出すCloverWorksのやる気たるや尋常ではない。てっぺん取りに来たなと思った。
 
 
 
菅野文。その名を知ったのは”花とゆめ”の「ソウルレスキュー」の単行本を買って読んだ時だった。天国最強と言われた天使が地上に追放され、1万人の人間を救済すれば赦してやろうと言われ、様々な人間との出逢いを繰り返し成長していく物語は、酷く荒削りでありながらも、何処か陰を感じる面白さがあった。その後あれよあれよと云う間に人気漫画家へと成長し、辿り着いたの薔薇王の葬列。これまた酷く合点の行く到達点だった。彼女の引き摺る不幸の色は、絶妙な腐れと交わって甘美な黒へと仕上がり、ついつい目が離せないものになっていた。久々に彼女の作品はいいなと感じたものである。何にせよ古典の後ろ盾は強い。
 
 
 
国は違えど、薔薇戦争と同じく不毛な争いの先を描いた平家物語。数年前に他界した高畑勲氏が、鈴木敏夫氏の目論み通り平家物語をアニメ化していたら、サイエンスSARUによる今回のアニメ化も存在しなかったのだろうか?高畑勲版平家物語は是が非でも見たかったが、山田尚子版の仕上がりを見ていると、これが日の目を見て本当に良かったとも思ってしまう。このメンツ(山田尚子、吉田玲子、高野文子、牛尾憲輔etc)でやれたことは後に伝説として残るはず。必ず10年後20年後も語り継ぐ人が居ることだろう。
 
 
 
最後に時光代理人。これは少し甘く見ていた。中国のアニメがここまでやるとは.....
 
羅小黒戦記、魔道祖師、どちらも日本人が吹き替えたら日本のアニメとして紹介されても驚かないほどの仕上がりで、普通に良く出来ていたが、時光代理人も半端ではなかった。パクリだの、何処かで見たことがあるだの、そんな言葉で覆い隠してしまうには勿体無いほど面白い。演出面も上々だし、綺麗なままで終わらない脚本も後を引く。はっきり云って、これを見た後も二束三文な異世界物を作っているようなら、日本のアニメ業界に先は無いだろう。いずれ中国がアニメでもてっぺんを取ってしまいそうな予感すらした。
 
 
 
他にもそれなりに楽しめた作品は沢山あったが、今回は割愛した。
 
果たして10年後にも見たいと思えるだろうか?
 
そう考えると見続ける気にならない作品ばかりだったのだ。
 
身近にいる犬や猫、虫の寿命に比べれば果てしなく長い人間の生。
 
しかし意識の中の流れは、実際の刻の流れ以上に速く過ぎ去ってしまうものである。
 
で、あればこそ、その時間をどれだけ有益な物にしていけるかどうかが、我々に出来る精一杯の足掻きと云うものではなかろうか?
 
千差万別。これらこそ誰もが見るべき作品だとまで言わないが、自分にとって少しは有益な気がしたことだけは間違いない。
 
10年後、あなたの大事な人生を振り返った時、少しでも思い出したくなる作品が、今期のアニメに存在していれば幸いだ。