無差別八方美人?

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TCGの未来は何処へ繋がるのか?「バトルスピリッツ烈火魂」杉島邦久(監督)/長谷川勝己(シリーズ構成)/BN Pictures(制作)/感想

僕はカードゲームなどまるでやらない。
一緒にカードゲームを遊ぶような友達が居なかったし、第一友達自体がほとんど居ないから縁が無かった。
それでも、少し遊べるカードと言うのは僕らの時代にも勿論あって、特にドラゴンボールとガンダムのカードダスをみんな買っていた。数枚特殊な効果のカードが有る以外は、戦闘力を競う簡単な遊びが出来るだけの代物で、はっきり言ってカードの絵柄や素材の方が目的でカード集めをしている節があった。キラキラのホログラムカードが出た時は、そりゃ心底テンションが上がったものです。
それからカード産業はどんどん成長しカードダスサイズの物からトレカへ移行、エヴァなど人気アニメのトレカが爆発的に売れたかと思えば、ポケモン、遊戯王、デュエル・マスターズと、いまだに続く化け物TCG(トレーディングカードゲーム)が続々生まれた。TCGが売れ過ぎてソフトが売れなくなったわけでも無いと思うけれど、馴染みのTVゲームショップがいつの間にかカード専門店になっていた(経営者は同じ)なんてことも、1度や2度では無かった。今じゃ店頭に置かれた筐体にカードを入れて遊んだり、無料ゲームで一生懸命ガチャを回しゲーム内のカードを集めるなんてのも当たり前の時代に突入。そのうち現物のカード自体が市場から消えるなんてこともあるんだろうか?末恐ろしい話である....
しかしまあ、カードゲームを題材にしたアニメを観ていると、今からでもちょっと遊んでみたいなと思ってしまうところは確かにある。複雑に関係し合うカードの特性を活かし対戦相手の裏をかけた時の快感は相当気持ち良いことだろう。あれだけ脳を使うのだから、TCGで遊んでいる子供達はボケることも無いかもしれない。
3月いっぱいでTVアニメが終わった烈火魂にもTCGへの興味を大いに刺激された。戦国風にアレンジされた格好良くて可愛くて不気味なカード達の個性がこれでもかと伝わる良い構成で、戦国武将から取った名前のキャラクター達がバトスピの天下を統一すべく戦うという分かり易いプロットが懐かしい気分を呼び起こす。
今は本当にCGの出来が良い。実際はカードを出して結果が出るだけのことなのに、カードのキャラクターがド派手に動いているのを見ていると、思わず烈火魂の主人公のように叫びたくなる。参加者は全員、身も心もアニメのキャラクターになりきってバトルしなければならないカード大会とかあったら面白そうだ。
それはそうと、烈火魂見てて少し怖くなったのが、まったく"大人"が出て来ないこと。「サトシには義務教育とかねぇのかな?」みたいな疑問はこの手のアニメに付き物ではあるけれど、バトスピは実況している男が中年に見える以外はせいぜい高校生止まりで一体この世界はどうやって成り立っているのかとあれこれ考えてしまった。大人が何かしらの原因で死に絶えたものの、既に全てが機械により自動化された社会だったおかげで、子供達がカードゲームに逃避していても生活に困らない世界なのだと考え始めたら、俄然SF熱が高まった。
子供を子供扱いして分かり易い物に染めるのも良いが、たまにはSFのようにショッキングなプロットで子供達にトラウマを与えるような子供番組があっても良いじゃないかと思う。あれもダメこれもダメ、こういう風に育ちなさいっていうのでは、まるで家畜も同然ですよね。大人の思惑に乗らずに育つなんてのは、まず無理な話だけど、子供達は大人から与えられる物、そして既存の物だけに頼らず色んな人・物に触れて自分だけの価値観を鍛えて欲しいものです。
あらゆるコンテンツでカード集めに奔走する今の若い世代が物作りの第一線に立つようになった時、一体どんな物が市場に溢れているのか、少々意地悪い意味で興味がありますね.....