今や変身ヒロイン物の代名詞と言える”プリキュア”シリーズだが、何もプリキュアやアニメが初めて美少女の変身物を始めたわけではない。半世紀ほど前に特撮ドラマが史上初の変身ヒロイン物をTVでやり、キューティーハニーやセーラームーンへと続いた結果のプリキュアなのである。
僕が初めて観た変身ヒロイン物も実写で、日曜の朝のフジ系で放送されていた「美少女仮面ポワトリン」。ヒロイン役の”花島優子”が全然美少女に思えなかったのをよく覚えている。正直内容の方はまるで覚えていない....
タキシード仮面とは違い、仮面を着けていた方が可愛かった
セーラームーン以降、実写畑の物だった変身ヒロインは、ほぼほぼアニメの物になっている。仮面ライダーや戦隊物ですら独壇場ではなくなっているのだから、自然な流れだったのかもしれない。生身の人間がいくら派手に着飾ってもコスプレにしか見えず滑稽なのは変わらないし、アニメの方が断然自然に観ることが出来る。ミラクルちゅーんず!が開始した時など、プリキュア人気に乗っかって小っ恥ずかしい実写作品が出て来たなと思ったくらいだった。でも、知らないうちに貰い泣きするほど好きになっていたから不思議だ。
ここではない異世界にある”音楽の国”をネガティヴに染めた魔王から地球と音楽を護るため少女達が闘うという、まさにプリキュアそのものなストーリーで、世界を救うための小道具や少女達を誘うマスコットの存在、ピンチからの最終形態披露や終盤の“皆んなの想いが力に変わる元気玉システムまでベッタベタのプリキュアだった。
こんな風に書くと「プリキュアでいいんじゃね?」と言われかねないものの、この作品の本当の見所は生身の少女達の一生懸命な姿にあり、いくら取り繕っても隠し切れない努力を愛でてなんぼだから一概に比較は出来ない。なにせ実写はアニメのような微調整は出来ない(やると不自然極まりない)から、1人狂うとメンバー全員でやり直すしかなくなるのである。だから年端もいかない少女達が精一杯頑張っているのだと思うと自然と元気がもらえたものだった。あぁ、これがアイドルにハマる中年の心理なのだろうか?.....
それでなくとも小っ恥ずかしい格好とセリフを白昼大勢の前で披露する彼女らだが、それ以上に頑張っていたのは周囲の大人と特に悪役連中だろう。
変な髪型におかしなダンス。いい歳をした大人がコミカルに振る舞うのはかなりしんどかったはず。それとも案外楽しめてしまうものなのだろうか?なんにせよ素晴らしい汚れ役っぷりだった。総監督が三池崇史さんでなければ、ここまでしっかりしたメンツは揃わなかったに違いない。普段からアニメや漫画の実写化に嫌悪を抱いている僕が「これはこれでいいな」と思えてしまうのは、子供だから許せるのと、本気で役者を演ってる大人が滑稽な役に真剣に取り組んでいるからなんだろうなと思った。
実写の変身ヒロインをTVシリーズに復活させたミラクルちゅーんず。それだけでも実はかなりの功績なのかもしれない。
後を継いだ「魔法戦士マジマジョピュアーズ!」は、飛び道具そのものな遠藤憲一さんの悪役っぷり以外、正直あまりぴんと来ないが、実写でこれをやっても良いんだ、やれるんだという爪痕を残していって欲しいなと思う。
にしても、CGで合成される前の映像は、さぞかしシュールなんだろうなぁ....