久しぶりに重めな映画を観た気がする。休み終わりの夜に観るには少々脂が濃かった.....
自身も精神疾患を抱える女性が、同じ疾患に苦しんでいた妹と両親を失い、その事実から逃避するかのように恋人と、その友人達共々スウェーデンのとある村の夏至祭に参加しに行くのだが、美しく穏やかな環境に気を許しかけた途端、村のカルトな風習の洗礼を受けることになり、後戻り出来ない事態へと追い込まれて行く.....
そんな感じのホラーなのだが、正直予定調和で先は読めてしまう。公開当時の煽りまくった映画広告は少々過剰だった気がしてならない。ただ、とある村の風習のディティールの細かさや、淡々と事態が悪化して行く雰囲気がとてつもなく仕上がっていて、単純な脅かし演出のホラー映画とは一線を画す不気味さで満ちていた。あっさり繰り出されるグロさが、村での普通を表現しているだけなのが怖いのである。
なんと云うか、穏やかさと狂気をシームレスに繋いでいる演出が本当にしんどい。終盤の音楽はそれが顕著だった。カメラワークも激しく動かすような真似はせず、空間の捉え方が独特で不安感を誘う。公式のネタバレサイトを読んだら深層意識に働きかけるような絵作りもしていて、鳥肌が立った。分かり易い恐怖を与えて来たB級ホラーが如何に見る側に優しいものだったのかを思い知らされた気分である。何かと言いたいことは尽きないが、最後に3時間近い(ディレクターズ・カット版)映画だと云うことを忘れるほど目が離せなかったことだけは書いておこう.....
一度見たら誰かに見せたくなる。でも見せるのを躊躇うくらいには胸糞悪い映画だ。男は特に勘弁してよ....と思うはず。逆に女性ならば爽快感に包まれる可能性はあるだろう。
自己の解放を強要されることに耐えられるのであれば......
あぁ観て良かった.....(棒