無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

未来を作るのは誰なのか?「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXシリーズ」士郎政宗(原作)/神山健治(監督)/菅野よう子(音楽)/Production I.G/感想

我々が存在するこの世界は、新型コロナと云う未曾有の脅威に晒されるだけでなく、”観測史上初”の気象変化に追い討ちをかけられ、現実が虚構を凌駕する流れの中にある。
 
じゃあ作り物の世界は、何を”やる”のが正しいのか?ただひたすら美人に好かれるお馴染みの光景か?中途半端に社会情勢を盛り込んだ鬱アニメか?それとも今の社会を一歳反映させない、美人にも逃げない、そう云う作品か?
 
様々な作品に触れていると、そんな苦悩が作り手から漂って来てる気がする。
 
シルバーウィークとやらの影響を受け、少々だらだらと過ごしていた自分は、うっかり攻殻機動隊SACの4作品を全て観直してしまった。
 
※三作目である劇場版の予告
 
攻殻機動隊シリーズを説明出来るような知識も技量も持ち合わせていないので割愛するが、攻殻機動隊の中でもSACシリーズは頑強な思想の存在を根底に感じる作品だと再確認したことだけは声を大にして言いたい。何度目の視聴であっても童貞の夢想を大いに刺激するのである。事実そうなのかもしれない世界と云うより、世界がそうあってくれたら、何をやっても報われない自分の諦めもつく、そんな感覚を呼び起こす世界観なのだ。義体化や電脳化であらゆることが実現可能に見える中、それでも儘ならない物は消えはしないことが9課の面々を通して語られる本作、困難な事件に立ち向かい解決して終わり、と云うスッキリした物にはならない。茨の道を歩めば生傷が付き物なのだ。でもそのスッキリしない後味こそが、SACの中毒性の源であり、同系列の作品の追従を許さない魅力へと繋がっているからタチが悪い。
 
攻殻機動隊どころかSACすら知らない人が大勢いるに違いないし、全て見ても意味不明と感じた人は更に大勢いるのではないか?と思うものの、誰かの壮大な夢想を共有する面白さを知っている人ならば、意味など必要ないくらいに本作を愛おしく感じるはずだと信じて疑わない。攻殻機動隊シリーズを未見で、うっかり興味が沸く瞬間があったなら、SACシリーズから試すことをお勧めする。特に孤独な男、中年ならお勧めどころか「見ろ」と命令したいくらいだ。どうせ時間を無駄にするなら、それに見合った無駄に投資した方がマシであろうから.....
 
バンダイチャンネルにてSAC1話目無料配信
 
 
攻殻機動隊の年表によれば、公安9課が創設されるまで後8年もない。また現実が虚構を追い抜く迄に、世界はどう変貌しているのだろうか?電脳硬化症のように、新型コロナのワクチンが何かの影響を我々に与えるのだろうか?
 
真実は未来を語らない。虚構こそが未来を語る。 
 
そんな気がする月曜祝日だった。