何枚か前のアルバムから感じていた漠然としたモヤモヤが着実に広がって来ました。
僕はもう真綾で感動出来ないのかもしれない….
曲も歌詞も完成度は本当に高い。落ち着きのある歌声は20年という長い月日をしみじみ感じさせるに十分だ。なのに何故か今ひとつ胸を熱くするほどの情念が今の真綾には足りないように思えてくる。結婚したことが悪いとは言いたくないが、悪い意味で満ち足りた人になってしまったのでなかろうか?。
しかもシングルが増えた分アルバム全体としての面白味が全然感じられない。必ず試聴してから購入を決める人達なら、一曲一曲好みの曲を単品で買いたくなるに違いない。
1stアルバム「グレープフルーツ」を出した頃の真綾は、持ち前の負けん気とマイペースさで大人達に喰らい付き、プレッシャーを半ば楽しみつつ歌っていたように思う。
無論、既に”裏付け”のある大人達が、真綾の才能を遺憾なく引き出してくれたのが本当に大きかった。ビックになってしまった今の彼女が側に置くお馴染みの人達では、到底あの頃真綾を支えていた人達ほど厳しい課題を与え、彼女の新しい可能性を広げることは出来ないとさえ思います。
でもこれは僕の高望みに過ぎません。祭りの後より祭りの前が好きだから完成されてしまった真綾は見るに忍びないとか、単純に歩む道がずれてしまっただけだとか、真綾に自分の中の理想を押し付けているだけなのですから。
僕らは生まれた時からそれぞれ違う道を歩き続け、時折誰かの道と近づいたり交差して想いを共有している気になることがある。そうしている瞬間は一生続く夢のように幸せですが、夢はいずれ冷めるのが自然の摂理というもの。
もしかしたら、そろそろ僕は坂本真綾という夢から冷めるときが来たのかもしれない…….
しばらくこのアルバムを聴いてみて、ライブに行ってもやっぱり同じ想いで胸がいっぱいになったなら、本当に少し真綾と距離を取り、自然に彼女の歌に戻りたくなる日を待つしかないかもしれませんね...........