無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

ちょっぴり長いが普通に観れる普通のジュラシックシリーズの系譜「ジュラシック・ワールド/炎の王国」J・A・バヨナ(監督)/感想

道産子には少々辛い暑さが和らぎ気持ちに余裕が生まれたのか、5度目の恐竜の夏を味わいに劇場へと足を運んだ。
ストーリーとしては、ジュラシック・ワールドだった島の火山活動が活発化し、そこにいる恐竜を国で助けるべきか否かというところから始まり、恐竜の保護運動家や世捨て人になっていたメインキャストの二人が、ハモンド(初代パークの生みの親)の盟友だった富豪の助けを受け恐竜を救うべく島へ戻って行くも、利用されるだけされて置き去りにされそうになる。富豪に取り入り側近となった男が恐竜で一山当てようとしているのを止めることはできるのか?.....と、展開していった。
ジュラシック・パークでの教訓を活かし、事件から22年ぶりに恐竜のテーマパークを復活させた連中が、失敗まで真似て大惨事を引き起こしたジュラシック・ワールドの続編なわけだが、1作目から撮影技術は比べるまでもなく向上しているのに、やっていることはあまり変わっていなくて、映画として目新しいことは何もなかった。教科書通りのアングルで撮られている印象で、ハズレが無いだけでアタリも無いように思えた。恐竜一頭一頭の動きや表情もとても豊かで素晴らしいが、逆に豊か過ぎてリアリティを損ない始めている。一緒に観に行った友人は「まるでディズニーみたいだ」と言っていた。結局最後は特定の恐竜との絆に物を言わせるし、ゴジラみたいな扱い(ゴジラは続編以降、他の怪獣を倒してくれるヒーローのような扱いになっていた)になりつつあるTレックスをオマケ程度に出してしまうのだからそう言われても仕方ないだろう。
とは言え、娯楽としてはよく出来ている。噴火で閉ざされる島に取り残されるブラキオサウルスのシルエットの見せ方や、萌えと笑いのバランス、恐竜を復活させたことで得た技術の転用による罪の形などなど、この映画を構成する個々のパーツそれぞれは結構楽しめる。個人的に面白かったのは、出資者の富豪の孫娘が、男女のメインキャストが横並びになって怖く無いからこっちにおいでとやっているシーンで、直に顔を合わせたことのある女性ではなく、ラプトルの飼育ビデオで見たことがあるだけの男にガシっと抱きついたことだった。
”こいつ肉食系だぞ”
と暗がりでほくそ笑んでしまった。
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息の長い作品の続編は難しい。これまでのイメージを壊せないのに壊さなければならないから。
キャストも製作陣もその多くは子供の頃にジュラシックパークを”訪れている”人たちであるし、自分の頭にこびり付いたジュラシック・パーク像を再構築するのは大変なことだろう。懐かしの人を再登場させるのも嬉しいと言えば嬉しいが、新三部作の最後を飾るであろう次作品で、何処までオリジナリティを発揮出来るかのか?あまり期待しないで待つこととする....
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