貴重な正月休みから無様に転げ落ちた僕は、あれだけ時間があったというのに去年のアニメをまだ消化し切れていない。そもそも見終わるかどうかも怪しい。これから始まる新作に押し出されるようにして、レコーダーから削除される不運(?)な作品も出てしまうのでしょうなぁ....
まあ、即観たいと心底思えないなら、僕の中でその程度の価値ということなんだろう。
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昨年の秋アニメはガツンと殴られるような作品は少なかった(いつもそうかな?)2期3期と分割で放送しているような作品が目立ち、これだ!という幾つかの作品は荒削りな物ばかりで、同社・同スタッフの次回作に期待しますで終わった気がする。意味不明な世界感だけど、童話風味の温もりと恐ろしさがしっかり伝わる仕事だった「フリップフラッパーズ」や、破茶滅茶で世界観は完全に破綻してるのに綱渡り状態で最後まで乗り切った「TO BE HERO」などがそうだ。
1シーズンに何本も作られる乙女系やBLを押し退け、王道でありながら堂々たる腐れっぷりを見せた「ユーリ!!! on ICE 」も同様だったかもしれない。コミカルで小気味良いテンポで進みつつ、ここぞと言うシーンはじっとりと力を入れて、本物のフィギュアの大会に劣らない滑走シーンの緊張感や選手達の心理描写に手を抜かない姿勢は本当に素晴らしかったものの、12話編成の駆け足が高じて、もうあと1歩、いや半歩掘り下げればもっと泣けた笑えたという欲が芽生えてしまった。こればっかりは良いアニメだからこその話だから欠点と言う欠点では無いけれど。
にしても、主人公の貞操をギリギリの線引きで守る腐れのバランス感覚はたまらない物があった。主人公の勇利とコーチであるヴィクトルとの間に流れる愛には、心身を深く求め合う男女の愛や、ただひたすら包み込むような親子の愛に負けないくらいの強さがあって、それが揺らいだり深まったりしていく様に何度も胸が苦しくさせられた。勇利とは対照的なもう一人のユーリの幼さゆえの意地っ張りな愛らしさも良かったし、彼ら二人の滑走シーンは何度見ても痺れる。特にユーリのしなやかでダイナミックなスケーティングからは、世界中の人のうっとりしたため息が聴こえてきそうだった.....2期を大いに期待したい一品になった。
正直もうユーリだけでお腹いっぱいな気分ではあるけれど、原作先行でメディアミックス有りきだった志倉千代丸氏の「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」は普通にグロくて普通にウザくて楽しめたし、理不尽系アニメの「Lostorage incited WIXOSS」や「魔法少女育成計画」は胃がムカムカしながらもしっかり味わった。イロモノの「競女」「私がモテてどうすんだ」、続編勢の「SHOW BY ROCK!」「ハイキュー!! 烏野高校VS白鳥沢学園高校」、サイコー超えてる?な「ドリフェス」「ナンバカ」、そして声優から見たアニメ業界の闇を面白可笑しくやりながらも毒気たっぷりだった「ガーリッシュナンバー」まで、あげればキリが無いほど前期もアニメを喰らった今、とりあえずこれだけはハッキリ言えるのは「響け!ユーフォニアム」を観ろ!だろう。今更言うまでも無く吹奏楽に青春を捧げる女の子達が最高だし、特に主人公の黄前 久美子を演じる”黒沢ともよ”のナチュラルな芝居を多くの人に堪能して貰いたい。ガーリッシュナンバーで烏丸千歳を演じた”千本木彩花”の演技も良かったが、前年度は間違いなく黒沢ともよが主演女優賞だったと思う。俺まだ見たことねーや、と言うおっさん達(若い子はきっと見てる)は今直ぐ見なさい
じゃあ主演男優賞は?と言うと、直ぐ様思い浮かばないものの、得意のハーレムアニメ以外で目立っていた中村悠一くんは頑張っていたように思う。「甘々と稲妻」に引き続きお父さんポジションだった「うどんの国の金色毛鞠」やWIXOSSアニメでの悪役っぷり、その他諸々馬車馬のように働いていた。同じような役どころを磨いていくのも大事ではあるけれど、演技の幅を増やすのは悪い事じゃないし、何より好きな役者がまるで違う自分にチャレンジしているのはファンとして素直に嬉しい。
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アニメに限らず映像作品は台詞が無くとも成立する。見ただけでそれと分かる動きがあれば十分なのだ。教科書通りの演技に終始する声優の声ばかり聴いているくらいならいっそ無声の方がマシでさえある。でも、それには画にかなりの表現力が必要で、金色毛鞠のポコや「ステラのまほう」の女の子達みたいな可愛らしいものを描かせたら上手いが、それ以外はからっきしな制作スタジオが多い日本において無声映画は難易度が高い。だから声優とアニメの関わりはこれから先も切り離して考えられない物になるのでしょうね。
今年はどんなアニメと声優が輝く年になるのだろう?