夜の校舎 窓ガラス壊してまわぁった〜
逆らい続け〜あがき続けた〜早く自由になりたかったぁ〜♪
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時は1985年。
まさにバブル真っ盛りなご時世。
仕事をやればやるほど儲かった時代である(今はやればやるほど赤字な仕事も多い….)
あの時代の子供達は、仕事が忙しいと家族を顧みない父親と、体面ばかりを気にする母親とに挟まれ、尾崎豊のような解放を口にする歌手に自然と夢中になってしまうほど”自分らしさ”を束縛されていた(今も似たようなものかな?)
特に息苦しかったのは学校である。髪やスカート丈の長さ等、身だしなみのことは当然厳しく言われるし、勉強が出来ない運動が出来ないというだけでも、必要以上に叱られる。しかも自分たちのことは顧みず、押し付けがましい優しさで体罰を与える教師までいる始末。何故?こんな目に合わなければならないのか理解出来ないまま子供達は卒業を迎えることになる。
無論、そうした教育方針を是とし、本気で子供達を心配していた先生も大勢居た。親身になっているからこそ、手を抜いた教育は出来ないと信念を突き通していたのだ。現代の親や社会の反応が怖くて子供に接する距離を取り始めた教師達より、あの頃の先生達にはよほど良い面があったとさえ思う。
しかし、大人に言い分があるように、子供達にも言い分があるというものだ。大人が守れないルールを、いくら同じ轍を踏ませないためとはいえ、頭ごなしに押し付け生き方を定められては子供もたまったものではない。
今月で30周年を迎えた「ぼくらの七日間戦争」は、そんな子供の言い分を存分に発揮した作品だったから、子供と一緒に映画館で観た大人は大いに耳が痛かったに違いない。
※角はよれよれだし、表紙も何処かにいってしまった...
”明日から夏休みという日、東京下町にある中学校の1年2組男子全員が姿を消した。事故? 集団誘拐? じつは彼らは廃工場に立てこもり、ここを解放区として、大人たちへの“叛乱”を起こしたのだった!
女子生徒たちとの奇想天外な大作戦に、本物の誘拐事件がからまり、大人たちは大混乱……”
by角川つばさ文庫作品紹介
僕は兎に角この本の映画版が大好きで、劇場で観た時から毎年のように観直していたのですが、ずっと手元にあった原作を最後まで読み切ったことがありませんでした。今読むと非常に読み易い本だと思うのですが、あの頃の僕には辛かったのでしょう。
アレも駄目コレも駄目、コウしなさいアアしなさいと、抑圧され続けて来た子供達が、嫌〜な感じの大人達を手玉に取る痛快な作品であった映画版に対し、原作は更に子供達の行動にドキリとさせられるものがあって、イケイケドンドンなバブル社会から脱落した大人達(ホームレスのおじいさんや借金まみれなおじさん)も巻き込んだ、社会派な面も強く、これは当時でもかなりの問題作だったんじゃないかと改めて思いました。
子供達の行動が時々行き過ぎに見えてしまうというのは、僕も歳を取ったということなんでしょうね。作中子供達が自分たちの選択に戸惑いを見せるようなシーンに安堵するような中年になりました。
それはともかく、時代は違えど、今の子供達にも何かをくれる内容なんじゃないでしょうか?偉そうなことを口にしていても、大人だって昔は子供だったのですから、自分たちを無力と決めつけず、大人相手に戦いを挑む気概を本作を通じて若者には感じて欲しいです。
それにしても、当時の原作有り映画の製作スタイルは挑戦的で素晴らしいです。今回原作を読んだことで、ただなぞるのではなく、元のプロットを活かしつつも、オリジナル要素で固め全く別な作品として完成させているのが良くわかりました。原作に無い戦車まで登場させた当時の関係者グッジョブです。無駄にCGで合成して原作通りのキャラクターを登場させるような糞映画とはワケが違いますね。
同時上映の「花のあすか組!」はちょっと原作ファンには不評でしたけど、子供心に残る雰囲気の映画だった気もします。あの頃の角川映画は本当に尖ってたなぁ…..
戦争はしない方が良いに決まっているけれど、譲れない物を賭けて戦わなければならない時もある。譲り続けて何が残ると言うのだろう?
自分の中にある絶対手放してはいけない物を護る為には、神にだって牙を剥こう。
ぼくらは奴隷でも家畜でも無いのだから
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