この前小説を整理してしていたら、お決まりの積み読本の中に”小川一水”さんの名前を見つけ、こりゃ読まなきゃならんなー!と鼻息を荒くして読み始めたのですが、流石10年以上前の作品となると、まだまだ荒くてまとまりに欠けている感じで、可愛げが無いくらい見事な構成の「天冥の標」シリーズの”小川一水”さんにも、こんな初々しい時期があったんだなって、妙に新鮮な気分になりました。
元々、中学生くらいから大が付くほどの”田中芳樹”ファンだったそうで、銀英伝から入り全ての本を買い漁っていたらしく、同じく中学から田中芳樹さんを好きになった僕としては、あぁ、ここから小川さんとの縁が繋がってたんだなと、勝手に仲間意識を抱いてしまって一層小川さんを好きになりました。
僕の場合は「アルスラーン戦記」から入ったのですが、田中芳樹さんの作る捻くれた悪ガキ精神なキャラとストーリーはどれも好きですし、銀英伝から派生したような「タイタニア」や、このシェワードワールズの元になった地球による各植民惑星への圧政に主人公達が反旗を翻す内容がなんとも思春期の僕には心地良かった「灼熱の竜騎兵」も、いつか続編が書かれる事を期待してやまないシリーズでした。
残念ながらどちらも田中芳樹さんの手による続編は日の目を見ていませんし、よほどファンと編集者の後押しが無ければ一生実現する事も無い事でしょう(タイタニアは2012年に執筆予定があると言われており、全5巻の構想が一応なされているらしい)
そういう意味では小川さんを始め計4人の手によるシェアードワールズが実現した今シリーズは恵まれていたと言えます。まあ続きをほぼ丸投げ状態にして4人の作家が全12巻にまとめた「KLAN」のような状態もどうかと思いますけど、未完で終わるよりは結末があった方が嬉しい時もありますよねw
田中芳樹さんの場合、原案であるとか、続きを誰かが引き取ったみたいな例が多いので、文体が変わって一気に魅力が削がれる事も多いですが、小川さんは根っからのファンを自称してるだけあって、田中芳樹氏本人が書いているかのような皮肉やユーモア、そして、芳樹さんならこう書くという心地良い安っぽさ(褒め言葉)をちゃんと形にしてらっしゃいました。
ただ、小川さんのSF講釈がテンポを悪くするところが多々あったり、登場人物達の人間関係が成熟する前にストーリーが進行してしまった感があって不自然な部分もありました。
当然1冊にまとめる事情もありますから、色々と難しいのも分ります。ただ、「今」の小川一水を知ってしまったら、少々厳しい話をしたくもなると言うものでしょう。
とはいえ、ところどころ今の小川さんの片鱗が垣間見れましたし、久々に田中芳樹ワールドに触れたような気分にさせてくれた事は感謝の念に堪えません。本当に両者のファンとしては非情に美味しいコラボで、大政にあだなす者達の反骨精神の陽気さこそ、田中芳樹作品の醍醐味だなって、つくづく思いました。
あ、この本の事で想い出したけど、天冥の標6のPART3買うの忘れてた....
(= ワ =*;).。oO1月に出てるのにねトホホ......
小川一水さんのWEB http://issui.sakura.ne.jp/hp/index.htm