無差別八方美人?

全然無差別じゃないおじさん

ガンダム40歳の日に

この度40歳を迎えたということで、音楽でも映像でも様々なジャンルでお祝いなのか便乗なのか分からないイベントが満載の機動戦士ガンダム。よくよく考えなくても自分の方が先輩なんだなと思うと、色々と生きるの辛くなるからやめておこう...
初めてガンダムシリーズに触れたのは、1991年のクリスマスの夜に放送された劇場版「機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙」だったと記憶している。それでガンダムの面白さを知り、TVシリーズを見たくなったものの、当時再放送を行っていたのはテレ東だったため、まだ本放送を行なっていなかった地域の人間としては当然見れず、わざわざ立派なアンテナをテレ東見たさに立てていた親戚の叔父さんの家に用事がある時だけ、ガンダムを見ていたものだった。
その後高校に入ってからレンタルでTVシリーズから劇場版三部作、そして富野監督以外が手掛けたOVAも見ることとなってゆくのだが、今回はあえて触れないでおこう。正直ガンダムのことを話始めたら幸せなことも辛いこともキリがないからだ。富野さんの関わらないガンダムの中にはどうしようもない作品が当然あり、直接手を下した作品の中にすら小首をかしげるような作品だってある。それはもう過ぎた話だからそっとしておこう....
今回せっかくだからと、めぐりあい宇宙とTVシリーズの1話目を見た。めぐりあい宇宙は富野さんや安彦さん達が納得いくまで作り直した作品だけに、当然の出来栄えで思い出を一切汚さない一本として揺るがず、久々に見たTVシリーズも歴史的な作品に相応しい幕開けで素直に”面白いな”と思ってしまった。ストーリーもカメラの配置も映像演出も良く練られていて素晴らしい。何度も目にしているはずのシーンで感動するなど、愚の骨頂でしかないが、良いものはやっぱり良い。無重力をここまで描いたアニメ作品は初めてだったのではなかろうか?色んな部分を改めて良いなと思ったけれども、その中でもザクとホワイトベースの格好の良さがたまらなかった。これは見せ方の勝利で間違いない。
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その後の作品を知っていると、様々なセリフやシーンに意味深なものを勝手に感じてしまうし、派生作品への欲求もむくむくと擡げてきた。ジオンの少年兵がゲリラ戦に駆り出されていることをテム・レイがブライト相手に嘆いているシーンを見ていたら、命懸けで連邦に立ち向かわなければならなくなった少年達を描いた外伝が見たくて仕方なくなっていた.....0080とはまた違うアプローチでジオンのゲリラ物語が一本やれそうである。
記念すべき40周年の年に、未だ富野監督のGレコ劇場版が不確定なのは残念だ。初代が公開された頃より遥かに金を持っているはずのサンライズが、もしかすると最後になるやもしれない富野ガンダムに及び腰なのは褒められた話ではない。まるで採算に合わなくとも最後に好きなものを作らせた鈴木敏夫さんとはえらい違いである。まあ、ジブリは富野由悠季さんすら素直に自分より上だと認める巨匠二人のためのスタジオだったわけだから一緒くたには出来ないけれど。
何十周年というのは、どうも十の桁が奇数の時の方が響が良い気がする。20周年よりは30周年。40周年よりは50周年といった感じに。
どうか、その時まで富野由悠季さんには元気でいて欲しい。少しまえにN◯Kでガンダム誕生秘話という番組がやっていたが、富野さんと一緒にガンダムを作り上げた安彦さんも、もういつ死んでもおかしくないくらい顔へ年輪が露わになっていて切なさを禁じ得なかった。ただ生きていれば良いという話でもないが、いつまでも精力的にやってくれていたら、こちらも負けていられないという気分になれるから、クソジジイ供には長生きして欲しいのである。
これからのガンダムも、更に誰のものでもない存在になってゆくに違いないが、気が向いたら伝説の白いモビルスーツが大地に立つシーンを、若い世代にも観てみて欲しいものだ。普遍のドラマがそこにはあるはずだから....
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