

ゴールドフィンガーを持つ"鉄蔵"爺ちゃんには惚れる
海外旅行に行きたいとはあまり思わない。と、言うより独りでは嫌だ。出来れば現地の言葉を学んでから行きたいし、だがそこまでして行きたいわけでも無い。でも、この本を読むと非常に外国の文化に対する憧れを覚える。主人公のルシウスが現代日本の文化に感動しているのと同じように、こちらはこちらで向こうの世界(古代ローマ)へ魅力を感じている。無い物ねだりというやつだ。

テレビもゲームも漫画もインターネットも無い時代。言葉だって通じない場所である。けれど尊敬出来る王がいて、人々が熱気を持って何かを成そうとし、腕に自慢のある者が技術に応じた見返りをちゃんと得られる時代。職人の後に続く職人は無く、自らから新たな技術を見つけ、それを活かす道を作ろうとしてもルールで潰される今の時代と、一体どちらが生きる気力の湧く時代なのだろうか?....
残念ながら、本作で描かれているような広い浴場は落ち着かなくてまず行かないが、いつものように風呂で寝落ちして溺れた先に古代ローマが待っているのなら、ちょっとだけ行ってみたい。
その時は是非ヤマザキマリさんの希望的観通りの古代ローマであって欲しいものだ♨︎