生きる極意とは、絶体絶命の瞬間『笑う』事と見付けたりっ「有頂天家族」/森見登美彦(原作)/吉原正行(監督)/2013年/アニメ/感想
いつも通りのBS放送とスカパーでマイペースにアニメを観ているので、まだ最終回を観てない作品がちらほらありますが、やはりこの作品のことをどの作品より先に書いておきたかった。
ザックリ説明すると、人間に化けて普通に人間社会に溶込んでいる狸達が、お家騒動を引き起こし、天狗や人間を巻き込んでドタバタと騒動を起こすと言う内容だったわけだけど、作品の根底に食物連鎖の非情さを描いているのが後を引くので、毎話たぬき共が面白可笑しく阿呆をやらかしても、何処か寂しい影が残り、ほんのり切ない気分を呼び起こす趣がありました。
しかし、そんな人間共のセンチな気分を知ってか知らでか、狸達は喰われることなど二の先にして明るく楽しく阿呆をやる。憎むべきはずの人間が行う祭り事さえ、大いにはしゃぐ口実でしか無いのだ。憎悪と憧れを一つのポケットに入れて、人間以上に流暢で粋な言葉を酌み交わす狸達の酔狂っぷりは、呆れるほどに清々しい。
実際、主人公達は自分の父親を人間に鍋の「具」にされて喰われてしまったと言う経緯があるのだから尚の事である...
だが、それもこれも「阿呆の血のしからしむるところ」なのでしょう。
「悲観」よりも「楽観」を愛し、「死」よりも「生」を愛す。
僕ら人間がついつい忘れがちなことを彼等は教えてくれています。
なんとなく、”高畑勲”さんが環境問題云々を抜きにして「平成狸合戦ぽんぽこ」を作ったら、有頂天家族のようなサジ加減になったかもしれないな、とか考えてしまいました。
メッセージ性は大事ですけど、自分の想いを一方的に押し付けるより、受け取る側が心に余裕を持って答えを導き出せるような、肩の力を抜いた内容の方が、よりバランスが取れて良い気がします。
有頂天家族では、「狸を食べることも愛である」と豪語する人間だって怪我をした狸くらい助けるし、同胞を人間に売り飛ばしてでも狸界でのし上がりたい阿呆もいる。一方的な正義を描いた「ぽんぽこ」を思うと、有頂天家族の爪の垢でも煎じて呑ませてあげたくもなるというものだ。
同じ阿呆なら 踊らにゃ損々!
どんなに世の中を恨もうが、後悔しようが、僕らはやっぱり人間だ。
化けることは出来ないが、狸を見習って人間らしくこの世を楽しんで死ぬとしませうかY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)アヒャヒャヒャヒャ♪
よぉ〜〜ポンっ!
公式HP http://uchoten-anime.com/
関連過去記事
『あぁ、薔薇色の青春はいずこへ?「四畳半神話大系」/湯浅政明(監督)/森見登美彦(原作)/マッドハウス/2011年/アニメ/感想』